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2009年10月31日
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「陰日向に咲く」劇団ひとり

今更感が否めないが、読んでみた。
サラッと読めたが、読後に特に感想がないという、稀有な本であった。
さらに言うと、あとがきが劇団ひとりの父親で、本についてではなく、劇団ひとりのことについて書かれているのは微妙すぎた…。


「流れ行く者」上橋菜穂子

「守人シリーズ」の短編集。
バルサとタンダの幼い頃のお話や、命でお金を稼ぐ護衛士の哀しい行末を描いたお話など。
タンダ、本当に幼い頃からバルサ好きね。報われるから、ガンバレといいたい。

「死神姫の再婚(孤高なる悪食大公)」小野上明夜


楽天ブックスで、お!新刊が出てる~♪と購入したはいいが、「送りました」のメール後、全然届かない…。致し方なく、伝票番号を確認してお問い合わせすると行方不明になっていたらしく…また新たに、楽天に送ってもらうとヤマト運輸さん。
ヒロインの性格が好きで、読んでいる本だけども、今回は悪食大公の大人の魅力にノックアウトだった。

「史記の風景」宮城谷昌光

史記は好きな本の一つであるが、何が魅力っていうと登場人物の感情の豊かさだったりする。激しく怒り、激しく喜び、激しく悲しむ。
そんな、史記の背景を歴史の名手宮城谷先生が掘り起こしている本である。

一番考えさせられたのは、「身代わり」の章。
歌舞伎の「菅原伝授手習鑑」の話の原型は、史記の「周本紀」にあるとしている。

この歌舞伎がどういう話かというと、菅原道真が流罪となった事件をベースに作られている。

道真の弟子の式部源蔵にかくまわれた、道真の子供の菅秀才。
しかし、どうしても菅秀才の首を差し出さねばならない状態になる。
源蔵は、自分の寺子屋に入ってきたばかりの小太郎という子供を殺し身代わりに首を差し出す。
敵方の菅秀才を知っているはずの松王丸が首を確認するが、「菅秀才にまちがいなし」といって帰るのである!

実は、この身代わりに殺された小太郎の父親が松王丸なのだ。
源蔵の苦境を知り、菅秀才の命を救う為になんと実親の松王丸がわが子を寺子屋に送り出し、身代わりにさせたとう逆演劇なのだが、どうにもスカッとしない話だと私は思う。

そして、「周本紀」の身代わり話はこうである。

一人の王がいた。この王が栄という国の夷公を信頼して重用するようになってから、政治が乱れ始める。重臣達が諫言しても耳をかさず、民も王をそしり始める。
怒った王は、自分を誹謗するものを処刑し黙らせると、それを自慢する。
それを聞いた、召公という人物が「黙ったのではなく、黙らせたのです」と事実を伝え、いさめるが、無視して、さらに民を弾圧しつづける。

やがて、黙っていられなくなった民は叛乱を起こす。

王は王都を脱出。このとき太子の静が召公の家に逃げ込み、それを知った民が家を取り囲み太子を引き渡すように要求。
「ここで太子を殺すと、諫言を聞いてもらえなかった怨みを晴らしたと思われる。君主に仕えるものはいかなる危険にあっても、君主を怨まず、怒らないものだ」
と、さも賢人ぽいことを言って、自分の子供を太子の身代わりに差し出すのである!

なんていうのか、こういう身代わり話は結構多いのだけど、正直そういう話に接するたびに腹が立つんですよね。

だって、義を貫くといえば格好よく思えるかもしれないが、やってる事は最低ですよ?
自分が身代わりになるのならいざ知らず、自分の正義のために自分の子供の命を差し出すのだ。
子供からしたら、最低最悪な親である。
こういうことを平気でしてしまうのは、仁の人どころかある意味欠陥人間だと私は思う。

死刑制度廃止を叫ぶ人と、似た思考回路の持ち主じゃないかと。
死刑制度廃止を叫ぶならば、自分の大切な家族や愛する人に、
「私は、万が一君が凶悪犯にどんな理不尽で凄惨な殺され方をしても、君を殺した凶悪犯には、死刑を望まないで、生きて罪を償ってもらいたいと思うよ。」
と、伝えてからにして欲しい。

ちなみに、私は恋人に言われたら別れるし、家族に言われたら縁を切るだろう。





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最終更新日  2009年10月31日 13時24分05秒
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