テーマ:詩&物語の或る風景(1049)
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俺は、本棚を整理していたら、 昔の卒業アルバムが出てきた。 懐かしく思って忙しそうな手を止めて 写真に見入ってしまった。 そういや、アイツは今頃何をしているのだろう・・・ アイツと言うのは、卒業式前日に、いきなり告白してきたヤツだ。 確か、名前は圭子とか言ったけ・・・ 圭子が俺のことを好きだったのは知っていた。 いつも、俺を追いかけ回していたヤツの一人だ。 その頃、俺は凄くモテた。 人生最高のモテ期だったと思う。 でも、優柔不断な俺は、その中から一人を選べなんて、 到底無理だった。 当時、優しいヤツが良いヤツだと勘違いしていた。 だから、彼女ら、全員に同じだけの、優しさを与えた。 しかし、結局はその優しさが裏目に出て、 傷ついてしまった女の子も居る。 でも、その中で、一人だけ 勇気ある行動を起こしてきたのが圭子だった。 圭子は、いきなり、卒業式前日に告白をしてきた。 「私は、ヤス君の事がずっと好きです。だから・・・だから・・・」 でも、東京に行くことが決まっていた俺は、 その希望に答えることが出来なかった。 自分の中で、彼女の言葉が、こだまの様に響く・・・ ホントは、セオリーどおりにいけば、 ここで第二ボタンでもあげるのだろう・・・ しかし、第二ボタンをあげると、妙な期待を持たせて 彼女を不幸にしてしまうと思った俺は 第一ボタンをあげて、彼女の前を去った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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