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わすれな草 ~伝えたくて~

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2006.02.25
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テーマ:徒然日記(23489)
カテゴリ:カテゴリ未分類

僕の家の前は広場だった。

土が山積みにされた工事現場の

物置にされた広場だった。

そこに半年に一回の割合で小さなワゴン車が来ていた。

僕らは、その車を「ポンポン菓子の車」と呼んでいた。

正確にはその車に、お米で出来たポンポン菓子が

沢山載っていて売りに来るのではなく

ポンポン菓子を作る釜が載っていて

原料のお米をお客さんが持ち込んで

作って貰うのである。



僕は、そのポンポン菓子がたまらなく好きだった。

車がやってくると、それまで

散々、鬼ごっこや、秘密基地を作ってたのを止めて

家に駆け戻り、お母さんに




「ポンポン菓子の車が来たよ!お米ちょうだい!早く早く!」




せかして、お米を用意してもらう。



「おじさん!これお願い。」


小さな袋に入ったお米を手渡す。

おじさんは、そのお米と、ザラメを

釜に入れて、器用に機械を回し始める



ガラガラガラ・・・



釜が重そうに回り始める。

そして、僕はポンポン菓子が出来るまで

その釜から離れずに、不思議そうにその釜を見つめていた。

あんな小さなお米が、何であんなにも大きくなるのだろうか?

たぶん、おじさんは魔法使いで、

僕の見ていない所で




「チチン・プイプイ・・・お米よ、大きくなぁれ」



って唱えているに違いない。

待てよ。ひょとしたら釜の中に

アラジンの魔法のランプのように

大魔神みたいなのが居て、お米を大きくしているのかもしれない。

その証拠に、その釜のケツをハンマーで叩くと



「ポン!」


と言う音と供に蓋が開き

大きくなったお米がいっぱいばら蒔かれる。


でも、そんな事はどうでも良かった。

僕は、ポンポン菓子の出来るまで、

その場を離れなかった。



出来上がったポンポン菓子はもって来た袋よりも

一回り大きい袋に詰められて僕に渡された。

それを、僕は気の狂ったカラスのように

家に持って帰ってむさぼり食う。

小学生の時の良い思い出だ。


最近ポンポン菓子自体をあまり見なくなったけど

あのポンポン菓子のおじさんは元気にしているだろうか・・・


僕の、ポンポン菓子のおじさんの記憶は、あの時のままだ。








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Last updated  2006.03.12 13:49:59
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Comments

わすれな草2006@ star fishさん >どんどん不憫な探偵さんになっていくよ…
star fish@ シリーズものの最新作ですね。 どんどん不憫な探偵さんになっていくよう…
わすれな草2006@ star fishさん >働くって、夢を与えることでもあるんだ…
star fish@ 自分の体験も入ってそうですね。 働くって、夢を与えることでもあるんだな…
わすれな草2006@ today3さん >Y氏の隣人(漫画ですが)を思い出しまし…

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