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わすれな草 ~伝えたくて~

わすれな草 ~伝えたくて~

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2006.05.02
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カテゴリ:カテゴリ未分類

そこは、会社から3分ぐらいの小さなコンビニだった。

いつもは、一つも売れないビニール傘だが、

今日は、飛ぶように売れて、最後の一本になっていた。

その一本を求め、手を伸ばすと

私の左から、更に伸びる手が・・・

その手は、私よりも素早く、そして大きく

最後の一本を持って行った。

私はこの雨の中、帰れなくなった。


いつまでも、コンビニの中に居ては迷惑だと思った私は

外に出てもう少し待つことにした。



私は、いつも「間」が悪い。

さっきだって、もう少し早くにタクシーとかの

選択肢を取っておけば帰れたのに・・・

もう少し早くに、コンビニに行けば

まだ沢山傘が有ったはずなのに・・・

恋愛に関しても同じ事が言えてた。


昔、私には好きな人が居た。

そして、友達に相談しながら

アタックをかけようとしていたのだけど

私自身が奥手なのと、行動が鈍くさいおかげで、

告った時には、私が相談していた友達と付き合いが始まっていて

私が入る余地が無かった。


そんなこんなで、気がついたら

私は37歳

結婚適齢期も限界が来ている。




雨は、相変わらず降り続いている。

しばらくすると、更に雨は強くなった。

私は、雨を避けるように軒下の奥に入り

目をつぶった。



しばらく経っただろうか

私の肩をたたく人が居た。

目を開けると、そこには背の高い男性が立っていた。


「そんなとこで寝ていると、風邪をひきますよ」


「す・すみません・・・」


私は、何故か少し恥ずかしくなりながら、答えた。

そして、何もかも見透かしたように、こう言った。


「帰る方向が、同じだと思うから、一緒に歩きませんか?」


私も何故だか解らないが、無言で頷いてしまう。

よくは、解らないけれども、何か良い感じ・・・

そして、その背の高い男性は、傘をさして私を招き入れた。


二人は、無言で歩き続けていた。

私も、彼も、何もかもが解っているかの如く・・・

雨は、相変わらず続いていた。


そして、向かった先は本当に自分の家の前だった。


「今日はありがとう。一緒に帰ってくれて・・・」


と、全てを言い終わる前に、

彼の唇が私の唇を塞いだ。


彼の唇は柔らかく、蜂蜜の様に甘かった。

そして、頭の中は真っ白になって・・・・・・











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Last updated  2006.05.27 21:34:53
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わすれな草2006@ star fishさん >どんどん不憫な探偵さんになっていくよ…
star fish@ シリーズものの最新作ですね。 どんどん不憫な探偵さんになっていくよう…
わすれな草2006@ star fishさん >働くって、夢を与えることでもあるんだ…
star fish@ 自分の体験も入ってそうですね。 働くって、夢を与えることでもあるんだな…
わすれな草2006@ today3さん >Y氏の隣人(漫画ですが)を思い出しまし…

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