テーマ:詩&物語の或る風景(1049)
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彼は、私の母親に挨拶をした。 「初めまして今度、早帆さんの 結婚相手になる浩一と言います。」 母親は、ワケの解らない受け答えをして、自室に戻った。 廊下を歩いている間、何かブツブツ言っていたように思う。 「私は、きっと夢を見ているに違い無い・・・ そう、きっとそうだわ。疲れてるのよ・・・ 早く寝た方が良いに違いない・・・・」 そりゃ、そうだろ・・・ 娘の結婚相手が、変な荷物で届いたら、 誰だって驚くに違いない。 とりあえず、彼、いや違った。 ファンセである、浩一に服を着せない事には このまま猥褻物陳列罪で警察に捕まるか、 鉄格子入りの病院に運ばれて、 怪しい薬を打たれて、変になってしまう。 自室に連れて行き、ちょっと叔父さん臭いが 父親の服を着せてみる。 話は、それからでも遅くない。 彼に、服を着て貰い、お腹が減っていたみたいなので 冷蔵庫から、軽く昨日の残りの、魚の煮付けと ご飯を食べて貰った。 私は、一心不乱に食べる浩一をずっと見つめていた。 これから、彼が恋人になり、結婚して、 一つの家庭を築き、子供を産んで 老後を送り、死んでいくまでを想像していた。 何故か私は、冷静だった。 まるで当たり前のように・・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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