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わすれな草 ~伝えたくて~

わすれな草 ~伝えたくて~

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2007.08.23
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カテゴリ:カテゴリ未分類
僕の通っていた小学校の通学路は

もの凄く長かった。

大人の足で40分は軽く掛かる。

だから、僕らの足だと普通に、1時間以上掛かった。

その、長い道のりの中、僕にとっては、誘惑がたくさんあった。

大抵は、田んぼばっかりなのだけど

中には、カブトエビや、糸トンボ

ドブ川には、ザリガニ・ボラ

大きな工場やお店

僕にとっては、目に映る全てに興味を持った。

その中でも、僕の興味をもの凄く引いたのは

とにかく、何かが創られる過程

媒体は、車でも、輪転機でも、クレーンでも、何でもよかった。

最初は、小さな部品が、ドンドン加工されて

一つの大きな物が形成される不思議さ。

毎日、飽きずにずーっと見てる物だから

そのうち、工場の人達の中で、有名になってくる。

で、ある時、その工場の一人が僕に声を掛ける

「君、この近くなの?」

無言で首を横に振る

「もしよかったら、もう少し近くに寄って見ても良いよ」

と、案内してくれた。

クルクル回る旋盤。

エアーコンプレッサーの音。

チカチカ光る、計器類。

普通では見ることが出来ない物でいっぱいだった。

工場の人達には、邪魔になるぐらい、色々と聞いた。

その人は、僕が聞いても解るぐらい噛み砕いて説明してくれた。




時は経ち、大きくなって僕が働く、この工場は

あの時と同じだ。

普通に機器を操作し、普通に物が出来ていく。

流れ作業的で、ちっとも面白く思っていなかった

あの時の、楽しさは今、無い

何の刺激もなく淡々と作業をしていると

遠くで、じっと見つめる小学生が居た。

僕は、迷わず声を掛けた。

「ボク、何処から来たの?」

彼は黙ったままだった。

「中を見たい?」

その途端、彼は、満面の笑みを浮かべた。

そして僕は楽しそうに、彼の手を引いて、中に案内した。

僕は、彼の為にも、この仕事をもう少し続けてみようと思う










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Last updated  2007.09.18 01:00:12
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Comments

わすれな草2006@ star fishさん >どんどん不憫な探偵さんになっていくよ…
star fish@ シリーズものの最新作ですね。 どんどん不憫な探偵さんになっていくよう…
わすれな草2006@ star fishさん >働くって、夢を与えることでもあるんだ…
star fish@ 自分の体験も入ってそうですね。 働くって、夢を与えることでもあるんだな…
わすれな草2006@ today3さん >Y氏の隣人(漫画ですが)を思い出しまし…

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