テーマ:ショートショート。(573)
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私は、去年の夏にご主人様に買われてここに来た。 私のご主人様は、背が高くてお仕事が忙しくて 私のことを何でも知っている。 私が、病気になったときには、ご主人様がよく看病してくれた。 私のご主人様は、出張が多くて、いつも私を連れて行ってくれる 「お前が居てくれて、いつも助かってるよ」 私は、いつもご主人様の食事を用意する。 ご主人様は、せっかちで 「おっせーよ!早くしろよ!」 よく、罵声を浴びせられた。 でも、私は、ご主人様のいうことを聞くばかりだった。 ある日、ご主人様は、私のことをうるさいと言った。 私は、いつも通り、ご主人様を呼んだだけなのに・・・ 「お前みたいな、うるさいヤツはこうだ!」 と、言うと、服を脱がされ・・・ 私のことを何でも知っている ご主人様には敵わない、私は身動き一つも出来ず、されるがままだった。 しばらく経っただろうか・・・・ 私は、声が出なくなっていた。 一生懸命、叫んでも、悲鳴は空を切るばかりだった。 以降、私は二度と、喋ることが出来なかった。 食事の支度が出来ても、呼ぶことさえ出来ない私は その場で、ブ~ンと、唸るだけだった。 「お前さぁ、最近あの電子レンジどうした? 全然ビーとも、プーとも鳴らないけど?」 あぁ、あれか? 本番中に、メシ食いたいときに、ピーピー鳴ったら困るじゃん? だから、ブザー回路切ったの。 名付けて「サイレント・電子レンジ」 これで、本番中も、安心してメシが食える。便利だろ?! 「これじゃ、いつ暖まったか?解らないじゃん! それどころか、ボタンを押した時にさえ鳴らないから、不便だよ せめて、ランプでも付けて、出来たかどうか、解るように改造してくれよ!」 改良の余地ありってか?しゃぁねぇなぁ・・・ 「てかさ、本番中に、メシなんか食うなよ!仕事なんだからさ!」 私は、ご主人様を、呼んでた頃を懐かしく思った。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.01.16 01:07:01
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