カテゴリ:建築
僕の後ろで、検査側の職員と設計事務所の人が話をしている。 聞くとはなしに聞いていると、 検査側「もっと、大勢の人をこっちにかけないとだめだよ。1人じゃ無理だよ!」 設計側「そう社長には言っているのですが、設計の方も忙しくて」 検査側「僕から、社長に言ってあげようか?とにかくもっと日参しなきゃ、日産自動車だよ!ははは」 と言っていた。 今の、建築の確認申請の状況はとても笑える状況ではなく 「廃業」が脳裏をかすめる設計事務所、施工者があるほどなのである。 「住宅の着工件数が昨年同期に比べ23.4パーセントも減少」(日経NET) しているという。 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070831AT1C3100H31082007.html ■僕が今日出した確認申請(計画変更)にしても、ちょっとした変更なのに、写真のような書類の山である。構造計算書だけで約600ページ×2部。 書類の受け取りだけで4人もの職員が交代で、書類のチェック約2時間! 帰り際にA4で20ページのチェックリストを渡され 「これをチェックしておいてください」 「・・・」 げんなりです。 検査機関の人は「書類の量が多すぎるとは思うけど、こうしないとウチも言われちゃうから」と、 審査する側と設計する側が、お互いに良いとは思わないことに膨大な時間を掛けて「いったい、何をやっているのだろう」です。 ■事務所に戻り、この検査機関のホームページを見ると 「構造担当者募集」と出ていた。 「これでいいのか日本」と思う。 建築の構造技術者は全国で10000人程度。多いとはいえない。そういった人材を作る側ではなく審査する側に移してしまうとどうなるのだろうか? ・書類の整備ばかりを求められ設計に膨大な時間がかかる割には質は上がらない。 ・結果として、日本の経済活動は他国に比べ競争力が低くなる。 構造技術者の不足が新たな問題を生じかねないため、技術者の育成がまず必要であろう。業界の人材のバランスが崩れることで生じる問題を総合的に考えて制度の変更を考えてほしい。 行政は法を改正することで、目の前の事務を見るだけではなく慎重に進めてほしい。 さもないと、国民のために行政があるのではなく、行政の仕事のために国民が犠牲になりかねない。 ■そもそも、地震の時に人命を守る事が何よりも大切なのではないだろうか? 阪神淡路や柏崎の地震でも人命が失われているのは、老朽化した木造家屋や新耐震前(1981年以前)の鉄筋コンクリートや鉄骨の建物の倒壊が原因なのに、そちらの対策はほとんど進んでいない。 それなのに姉歯のような建築士が出たことで行政側がパニックを起こして重箱の隅をつつくような書類の提出ばかりを強要する。 人命を守っているようでいて、まったく効果は上がっていないではないか。 日本の「人命」「経済」「住環境」を守るために実態に即した行政をお願いしたい。 目先のトラブルに目を奪われ本来やるべきことをやらない行政は× お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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