カテゴリ:建築
六本木ヒルズの森美術館で
「ル・コルビュジエ展」をやっている。 ル・コルビュジエ(以下コル)は20世紀の近代建築の3大建築家の1人と言われ建築会では知らない人が居ないほどの超有名人である。 コルが設計し実現した建築はそれほど多くはないが、その多くが新しい思想、技術で実現されたものである。日本には上野の国立西洋美術館がある。 2008年にはコルの設計した建築の多くが世界遺産に申請される予定とのこと。歴史的な建造物や偉大な自然が世界遺産に登録されるのとは違い、一人の建築家の実践が人類の遺産として保存されることは、設計し、物を作る者にとって我が事のような喜びを感じる。 今回の展示は、そういったコルの生誕120年目の節目にあたる重要な展示であり、 特に展覧会の目玉は代表作、労働者階級の集合住宅であるユニテ・ダビタシオンの住戸の実物大模型が会場に再現されているのである。 本来であれば、フランスのマルセイユまで行かなければ体験することができない。 たとえ行っても中に入ることなんてできないかも知れないものが、地下鉄代300円と入場料1200円だけで見れるなんて感激である。 話を聞いたり、図面で見るのとはまったく違い、実際の広さの模型の持つ迫力は確かだ。 ・天井高さ2m26cm ・巾が約2mの子供部屋 など、スペックだけを見ると貧相だ。しかし ・吹き抜けのあるリビング ・その吹き抜け越しに眺望の得られる住空間 等、体感すると魅力が確かなことは歴然としている。 計画途中には「しょーも無い計画」と言われていたのに完成したら「労働者階級の住宅をなぜこんなに立派にするのだ」という非難がフランス国内で出たほどとのこと。 決して広くは無いはずの空間がこんなにも豊かなのかと実感させていただいた。 この集合住宅は1952年完成なので築55年である。しかし、よくできた建築はまだまだ建替えることにはなりそうに無い。 一方、日本の集合住宅は築35年位経つともう限界では無いだろうか? それは物理的な限界ばかりではなく、建築そのものに魅力が無いため陳腐化してしまうからではないだろうか? 長持ちする建物は、永く人から愛される建築 今回、改めて強く感じたことである。 写真は、コルの仕事机の模型。 机の横に書類や図面を水平に入れる棚があり使いやすそうである。ちょっと写っている子供はうちの次男。展示会の狭いところで、なにやらおならの匂い。次男の顔を見ると笑っているので「お前か?」と聞くと。にっこりしながらうなずくではないか。 回りの人が避難してしまった。そのときの人ごめんなさい。 コルの展示は9月24日まで、ぜひ、多くの人に見て欲しい展示である。 人に愛され続ける建築は○ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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