カテゴリ:建築
安藤忠雄は、近年では海外のプロジェクトも多く、東京大学特別栄誉教授の肩書きを持つ 名実共に認められた世界的な建築家である。 もともとは関西を中心に活躍していたが、最近は表参道ヒルズ、東京ミッドタウンの21_21、渋谷駅など、東京でもその作品を多く見かけるようになってきた。 今回の展示会の目玉は、そんな安藤忠雄の出世作 「住吉の長屋」の 原寸の模型! の展示である。原寸とはもちろん住宅そのものの大きさなのである。 多分、こんな展示は滅多にない、自分がこの空間を体験できるのはこれが最後のチャンスとの思いで出かけた。 住吉の長屋は ・間口3.3m ・延べ床面積64平米 という狭小住宅で、大阪の下町にある木造長屋の真ん中だけを壊し、コンクリートの住宅を作ったものである。 家の真ん中に庭を造ることで狭い空間の中に自然を取り込み現実の広さ以上に精神的な広がりを感じる住宅になっている。 また、そのデザインは、形のみのデザインではなく住む人の行動を通して自然とのかかわりを提案していることもそれまでの近代建築にはなかった試みである。 この住宅は1979年に建築学会賞を受賞し安藤忠雄の建築は多くの建築家に影響を与えることとなった。 例えば打ち放しコンクリートの表現をデザイン的に高めたのは安藤忠雄の功績である。 建築学会賞受賞の際の審査員の寸評では「この賞はこの住宅の住人に対して賞をあげたい」という旨の発言があったという。 無名の建築家の挑戦に理解を示してくれた長屋の住人のおかげで奇跡の建築が生まれたということであろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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