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詩人たちの島

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November 17, 2005
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カテゴリ:作物
全校集会


白い色がかすかに見えた
秋の色
さっと血がのぼったが
そこで終わった
蟹のように歩いて、やっと後ろに回って全体を眺める

殺した子の友人と殺された子の友人たちもいる全校集会
「命の大切さ」が道徳とマナーのことばで語られている秋の午後
体育館の寒々とした光景のなかに
「命のない」言葉たちが浮かんでは消えてゆく

この足が冷たいフロアーの上でしびれている
看守がじっとぼくらを見ている
殺された子も殺した子も
きみらももう一度坐らないか
体育館の冷たいこの孤独のフロアーの上に

携帯の電源を切れ!
おしゃべりをやめよ!
木枯らしのような命令の風が吹くが
それでもきみは携帯を手から離さない
殺した子と殺された子がそうであったように

つながることにいったいどんな意味がある?
電源を切ることでつながりが消えるなら
こんな社会なんか消えてしまえばいい
ぼくがバイトしているのはただ携帯の料金を払うためだけだ
掌の小さい窓を訪れる病んだ僚友たち
巧妙な罠を逃げ惑うウサギたちのゲーム

蟹が泡を吹いている
白い秋の色が泣いている

きみらももう一度ここに坐らないか
そして窓の外を走るはるかな白を一緒に見ないか
校長先生、諸先生方

白秋の文庫本を擦り切れた学生服の下に隠して
「どこかで百舌が鳴きしきる」
百舌の速贄(はやにえ)という言葉を見つけた日の寒さ
貧しい寒さ
木の枝に貫かれたぼくはまだ「何ものをか恐れてゐる」
春の鳥たちの翼の音を、その鋭い嘴に運び去られた青春の日

そしてここに泡を吹きながら、蟹のように歩いて
背後に回る
そっと白い色を盗み見る

黒い鳥たちが幾百となくうずくまっている
匿名の鳥たちが
一様に光る一尺に満たない笏(しゃく)を掲げて
マナーを正して校長先生のもとにつめよる
その小さな窓には雁行するような文字列が映っていた

「たすけてくれ、月明の空を、飛べない、ぼくらを」

                                  2005/11/17





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Last updated  November 17, 2005 08:46:39 PM
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