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詩人たちの島

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November 21, 2005
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    がっこう    谷川 俊太郎

がっこうがもえている
きょうしつのまどから
どすぐろいけむりがふきだしている
つくえがもえている
こくばんがもえている
ぼくのかいたえがもえている
おんがくしつでぴあのがばくはつした
たいくかんのゆかがはねあがった
こうていのてつぼうがくにゃりとまがった
がっこうがもえている
せんせいはだれもいない
せいとはみんなゆめをみている
おれんじいろのほのおのしたが
うれしそうにがっこうじゅうをなめまわす
がっこうはおおごえでさけびながら
からだをよじりゆっくりたおれていく
ひのこがそらにまいあがる
くやしいか がっこうよ くやしいか


    二千三年十一月二十三日の朝日新聞に掲載


(note)
今日は、人の詩。鳥取の平川さんが次のようなメールとともに紹介してくださった詩だ。
 
 ―水島さん、処刑されつつある生徒たちの生命が見え始めましたね。生命を育てるためには、愛しさえすればいいのです。ぼくのことばでは、包み込むということです。

ドイツ語の慣用句に、面白い表現がありましてね。それは、Mantel(外套)の項目にあるのです。ドイツ語で言うとこうなります。 et. mit dem Mantel der Liebe bedecken(エトヴァス・ミット・デム・マンテル・デア・リーベ・ベデッケン)日本語で言えば、あるものを愛のマントで覆う、という意味になります。辞書的な意味は、あることを大目に見る、となっています。ぼくの言う、包み込む、という行為は、いいかえれば、愛のマントで覆う、ということになります。

問題はこのマントの出来具合ですね。教師としては、このマントを常に大きく、暖かいものに、作りあげることが、普段の研鑽ではないでしょうか。そして、個々の生徒の生命を包み込むためにこそ、教師の叡智が問われるのです。そのためには、まず、自らが処刑機械によって処刑されることを断固拒否しなければなりません。ぼくは、36年間それだけはやってきたつもりです。これからも生徒に関する詩を作ってください。おそらく材料は、山ほどあるはずです。

おまけとして、谷川俊太郎の「学校」という詩を、添付します。―

平川さん、ありがとう。この十月、一ヶ月くらいかけて谷川俊太郎を読む機会があったのに、この詩は既刊のものには収録されていなかった。それも当然だ。谷川のすごさがよく伝わる傑作です。






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Last updated  November 21, 2005 08:10:01 PM
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