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May 11, 2006
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カテゴリ:politics
 朝日新聞は5月9日、5月11日と、宮崎、小熊という若手の論客を起用して、日本の現在の保守思想の「空疎化」を論じさせている。宮崎哲弥も小熊英二も共通して、「日本の右派や保守派をみて思うことは、思想的な核がないということ」(小熊)だと述べている。
悪名高い「つくる会」は分裂したらしいが、それもそこに「思想的な核」など何もなく、ただ単に「アンチ左派」という一点で結びついていただけだからだというような分析も両者とも同じである。もともと日本には近代以降、たとえばヨーロッパなどのように保守思想を体現するような貴族階級、意識もなく、むしろ乱「開発」一点張りで、時として豊かな保守思想(そんなものがあるとして)をも破壊しつくしてきたのが当の政権政党であり、今の自民党であるというのが、小熊の考えである。
 こういう動きがコイズミ政権になり、勝ち組、負け組みという格差を拡大しつつ加速化したわけだから、そこに共有すべき、いかなる「国民の歴史」も存在しようがないのは自明の理である。だから―「国民の歴史」を作る会、新しい歴史教科書を作る会―の分裂と衰退の根拠がある。しかし、そのことを隠蔽すべく、今度は「教育基本法」を変えようという政権政党の策謀が生まれる。小熊によれば次のような道筋として素描されるのだが。

―総じて近年の日本で台頭しているのは、ナショナリズムともいえますが、不安を抱えた人々が群れ集う「ポピュリズム」だと考えたほうが適切だと思います。今後も社会の構造変動が続き、孤立感を感じる人は増えるでしょうから、「つくる会」のような運動はまだ出てくるかもしれません。しかし思想的な核が何もないのですから、大きな政治運動に成長する可能性は低いと思います。
ただ、彼らが「サヨク」とみなした対象を集中的に攻撃したり、強行外交や改憲などの「世論」を形成したり、時々の選挙で特定の政党を水ぶくれさせるといった現象は置き続けるでしょうから、そうした影響力は無視できないでしょう。―5月11日・朝日新聞

 こういう視点も確かにあるし、勉強にもなる。しかし、東京都の議会や「教育委員会」で行われている議論や、その多数派の意向を常に先走りするように汲むことで、その意向自体を実に醜悪な行政上の通達や指示に転換してみせる「都教委」という役人集団のメンタリティをどのように分析すればいいのか、この若手の論客二人に私は聞いてみたい。

 ヒトラーはいないのだが、このもと教員上がりの役人たちが多数をしめる「委員会」では、「挙手による採決」を「会議」で行ってはならないなどという、ヒトラーも驚くような「指示」を、その自分たちの「学校」といわれる「現場」に発して恥じないのである。「学校」の設置者であるなどと言って威張っているが、学校はもちろん彼らのものではない。彼らがよくいう「都民の財産」である。この連中は、小熊の分析によると、「孤立感を感じる人」に属すべきものだが、それよりも性質が悪いのは、自分たちが社会の底辺で権力を翼賛するルサンチマン人間であるという事実を忘れて、エリートと錯覚するところにある。
本当は、議会に巣食う「教育ルサンチマン」の議員たちを当選させないようにすべきである。こういう連中が持っているのは、真実ルサンチマンでしかない。宮崎は次のように書いている。

―近年のジェンダーフリー・バッシングに伴う、性教育に対する一部保守派の攻撃の様子をみれば、もはや保守の美点の一つであった現実主義すら失調しているのではないかとすら思える。
適切な性教育が、性病の蔓延や妊娠中絶の増加を食い止め、性交の初体験年齢を上げる効果があるとしても、彼らはほとんど聞く耳を持たない。純潔を教えさえすれば、純潔が実現すると信じているかのような彼らの態度は、平和さえ唱えていれば、それが実現すると信じた空想的平和論者の姿勢と瓜二つだ。
そこに自省の契機も、熟慮のよすがもなく、ただ断片的な反応―それもしばしば激越に走る―しか看取できないとすれば、それらはもはや保守とも保守主義とも無縁の、単なる憎悪の表出に過ぎない。― 朝日夕刊・5月9日

 鋭く公正な若手の論客二人の言っていることに、私は全体として反対の意見を持たない。ただ、彼らが見逃している「事実」が一つあって、それが、ここ数年にわたって「都教委」なるものが実施しようとしている、いや実施している「全体主義」である。このアナクロニズムの根底にあるのは「奴らは敵である、敵は殺せ」という憎悪に他ならない(これは、埴谷雄高の定義であった)。これに対して、お二人はどういう意見を持っているのか、うかがいたいものである。





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Last updated  May 11, 2006 09:46:33 PM
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