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詩人たちの島

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November 25, 2006
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カテゴリ:連詩

10

眠りの浅い夜がようやく明けてカーテンを開く
曇り日の朝の陽は弱く光の言葉は少ない
私が夢見る光の世界は凡庸で
この世の闇の多彩さにはとても追いつけない
闇の饒舌
闇の多弁
窓辺に撒くパンくずを
今日も鳥たちはにぎやかに啄ばんでいるが
光を求める旅の行き先を私はついに決められない
光は内側に点すものなのだろう
内側に点した光で
わずかに外側を明るませることができれば
それでよい                       (豊美)


11

アフター・ダークであって、ファイブスポット・アフターダークではないんだ
ぼくは、後者のほうがいいなあ、と彼は言った
それは、村上春樹であって、フランツ・カフカではないんだ、
ということを、きみは言いたいのだね、ともう一人が言った
もっと明晰に発言してくれ、と聞いている者たちの一人がどなった
この生という農場では
それぞれの生存の場所とそれぞれの名前だけが明示されればよい
雨に濡れている
でもそれは慈愛の雨だ、死んでしまえときみは言うが
でもそれは最後まで生きぬけという意味だ
闇の饒舌
闇の多彩
ファイブスポット・アフターダークは
East of the Sun and West of the Moonの地点に存在する
そこからslow boat to Chinaが出航する
塩茹でのピーナツはいかが?
そこから光のバードが飛び立つ                   (英己)


12

猫とカラスのいる無人駅から歩きだして
きみを思うための
雨と夜を手に入れた
私は迷ってしまった けれども迷っていない
森に入るカフカを見失いながら
性格と心理がひきよせる罠にかかった生きものなのだ
腹は立つよ 道端のぬかるみに
食べ物が投げすてられている
同じ地点に何度も戻ってくる
この方向感覚 この罠 この自分から抜けだすために
歩いて 歩いて 恋に落ちたのだ
濃くなる闇 多くを語りすぎる闇のなかで
私はあきらめない まなざしだけで
明晰に発言するきみ
内側に光をもつきみにさわる朝を思う              (健二)

 

(のーと)
12月3日(日曜日)、午後5時から、国立のいつもの「奏」で、FARMの朗読ライブをやります。2005年2月11日のライブにはじまり、今回で6回めになります。それぞれのタイトルは「嘆きのとき」「白い凪」「島」「秋風秋雨」「闇」と来て、今回の「光」です。福間健二が掲示板に書いているように、たぶんFARMとしては最後のライブになるかもしれません。
皆様のご参加をお待ちしています。






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Last updated  November 25, 2006 07:47:34 PM
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