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詩人たちの島

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February 1, 2007
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カテゴリ:movie
代休の日。携帯の調子が悪かったから八王子に出て、買ったところで一時間弱、説明を聞いたが、よく分からないままに、携帯も動き出したので、立川に出る。立川で映画を観る。
“The Departed” 香港映画Infernal affairのリメイクである。元のものはtrilogyでその一つか何かを見た覚えがあった。これはM.スコセッシの監督で、デカプリオとマット・デイモンが敵対者を演ずるというもの。敵対者といったが、お互いが敵対関係にある警察とアイルランド・マフィアのそれぞれの「内通者」「ネズミ」という役割で、二人が真に敵対するのは映画の終盤である。しかしわれわれ観客にはすべてが分かっているという仕組み。よくある話だが、ジャック・ニコルソン演ずるマフィアのボスの鮮やかなリーダーシップぶりに比較して、警察側のリーダーはマーティン・シーン演ずる人のいい警部?だから、このアンバランスがちょっと切ない感じになる。ニコルソンの存在感に比して、あまりにも弱すぎる。この警部は最後にはビルの屋上から突き落とされて殺される。前者(ニコルソン)にデイモン演ずるクールな警官が属し、後者にデカプリオ演ずる「ワル」が属する。デイモンが警察に巣食い、取締りの情報をニコルソンに内通する、それに対していつ殺されるかわからないスリルを味わいながら(おかしいのは、デカプリオはワルを強いられることで精神的に相当参っていて、ハーバード出の美人精神科医の患者でもあるという設定、そしてこの女医はデイモン演ずるクールな刑事と結婚寸前なのでもある、こういった関係はオリジナルにはなかったのではないか?)デカプリオはニコルソンの逮捕のために彼の下で働くわけだ。最後はみんな死ぬ。だからThe Departedというタイトルなのだろう。映画が始まる前、「今から、デイ・パー・テッドを上演します」とアルバイトの女の子が満員の観客(私は真にびっくりした、普通の日なのに満員なのである、しかも若い人が多い、これは橋本の映画館とは大違いである。でも、実は今日は―映画の日―というので千円で見ることが出来たのだ。知らなかった、得した気になった、この影響もあるのか?)に可愛い声で口上を述べたが、一瞬私は何のことを言っているのかわからなくなってしまった。いくらなんでもデイ・パー・テッドはないだろう。是非、気の利いた邦題を付けて欲しいとつくづく思った。

気の毒な下っ端たちの物語である。しかし、ここには、「警察」と「マフィア」には、似通ったものがある。一方が正義を名目とした法の暴力の代行機関であれば、もう一方は私利私欲に根ざすとはいえ、神話的な暴力を行使しておそれない「無法」ものの代表である。いずれも「権力」の影にすぎない。立ち向かうべき巨大な「権力」が隠されているなかで、あるいはそういうものはないのかもしれないが、その無さのなかで、この二人の若者は、汲々と日々を、自らが仕えている擬似権力の動向をうかがい、それを互いに報告しあうことで生きていくしかないのだ。強制された報告だから、この二人にはそれがもたらす喜びのかけらもあるはずがない。正義の側にいる、デカプリオの苦しさに満ちた顔を見よ。彼は自らが望んで、こんな自らのアイデンティティを破壊するような役割についたのではない。ではなぜ彼は拒否しなかったのか?彼のすべてがこのような役割に最適であるとあらかじめプロファイリングされていて、それに異議をとなえることは不可能だったからだ。デイモンはその幼少のときに、神のようなニコルソンに見出され、すべてを決定された。こっちはもっと宿命的である。でもハリウッド映画はやっぱりそこまでは描けない。M.スコセッシでさえもと言うべきか。要するに、この二人は双子なのである。新しさのかけらも欲望できない双生児、新しさのない世の中を「暴力」に脅えながら生きるしかない二人。

擬似権力に使いまわされて、お互いを傷つけあうような生は、もちろん、ニーチェのいう「最高の喜びをもって自己自身を肯定するためにのみ、その反対物を捜し求める」生とは無縁であり、ニーチェにそいながらドゥルーズが定式化した価値の源泉「自分のなしうることの果てまで進んでいく力」からも見離されている。そういう意味で、デイモンとデカプリオが演じたコリンとビリーの生と死は乗り越えなければならないものとして無粋な私には思えたのである。





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Last updated  February 1, 2007 11:34:08 PM
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