カテゴリ:作物
銃も歌もなく
萌黄色はどういう色だろうか 黄色が萌え出て、緑と重なるのか 五月のはじまりの木々の緑は、そのさわやかな浅さで そうか、浅黄色というのもあった、この字は間違っているだろう 疲れた眼を癒してくれる 重たい心の色をかかえて 坂道をくだっているときにディランのディソレーション・ローなど あるいはサンダー・オン・ザ・マウンティンとか 聞こえてくるような錯覚を自分でつくってしまう、どういうものか よくは知らないけど 蒸気機関車に乗っているような、そのリズムで、それのみで 往ってしまいたい、変わってしまいたい 小さな望み 揺れている小さなカタクリの内気から 無色な、はげしい無色で、燃え立つような世界に 灰かぶりのシンデレラは 不運から幸運への垂直軸をたどった 始まりから、エントロピーの法則に従いつつ 水平の軸を右肩あがりにカーブを描きながら終わりに向うだろう 12時の鐘が鳴り、靴が脱ぎ捨てられ きみにはそれを拾えない そういう物語 半分の世界で、ボブ・ディランがビヨンド・ホライズンを歌っている 半分の世界で、きみたちは家族の物語を生きている 銃も歌もなく 真理は何かとか オイディプスの悪夢をいつまでも夢見せられ この盲目が あの半分のそよぐ風の声と結びつく 美しい国 「月はほとんど隠れ 星も隠れ始め 占い師は商売道具を片付けた カインとアベル、ノートルダムのせむし男を除いて みんながセックスしている」 きみは、その街から排除され 女占い師の預言のように 善きサマリア人のベストではないが ナンバー5ぐらいを維持して生きるのだ 非常に面白くない 雨が降ってきて、その店は閉まっていた オフィーリアとハムレットはセックスしたのか 高校生のとき つげ義春のマンガと瀬戸内晴美のエロ小説を借りたその店は 閉まっていた (註「 」内はディランのDesolation Rowの一節のでたらめな和訳) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[作物] カテゴリの最新記事
|
|