454920 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

詩人たちの島

詩人たちの島

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X
April 26, 2007
XML
カテゴリ:作物
雨が止むと
木々の緑の葉が小さく揺れて
たまった雨が地上に落ちた
靴の汚れを気にせず歩いてゆくと
土が柔らかくその歩みを包み込んだ

切っても切っても新たに伸びる爪
切り捨てられた爪がリビングの床に転がっていた
爪は被疑者と被害者を区別するために、そこに落ちていたのか
権力の生は爪の増長に劣らず隙間なく這い延びて
この肉の欠伸の喉まで支配しようとしている
要注意
家で飼われ続けた猫たちは、その爪さえ自らで切ることがない
愛されることに徹底すると愛してゆくことが
美しい政権のように与えられている

「私は拉致されました。この生とこの世界へ。電車の箱のなかへ。
亡き母は、行方不明の父について、一言だけ語ってくれました。
おまえのお父さんはスパイだった、と。SO IT GOES、とヴォネガットの
台詞をまねて、そうしたものです、そうですか。スパイの役目は、工作し、
逃亡することです。父の工作の結果、私は母の腹を切り裂き、ここへ、
存在へと、拉致されたのです。アメン、父よ!アメン、神よ!
亡命に似ているからといって、しかし、私がどうして祖国を
愛さないということがありましょうか。国境のない、茫漠とした、蛇に
にらまれた裸の世界、それが私の祖国です、林檎の実らない極寒の祖国。
そこから、私どもは拉致されたのです、POLITICAL WORLDへ。
にぎわいの世へ。SO IT GOES、そうしたものだ、そうですか。
誰もがその願ふところに
住むことが許されるのでない、と日本の詩人は
長い戦争の時代のはじめに書いています。」

おはようございます、と挨拶する朝
その先生は、おー、と答えた
そういう日常が、とても小さな爪きりのように
使い物にならない飾りのように、思われるときがある
でも、その飾りは、それ以上何も飾る必要のない飾りである

捨てられたものは何でも美しいというのは嘘だが
ときにはゴミでさえ切ない。狼藉のあとの自己嫌悪
その印がいつまでもついて回るように
世界のなかに拉致されているという救い
そう「錯覚する」ことで開かれるもの

深爪に要注意。

雨が止むと
木々の緑の葉が小さく揺れた





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  April 26, 2007 09:38:51 PM
コメント(0) | コメントを書く
[作物] カテゴリの最新記事


PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

蕃9073

蕃9073

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

船津 建@ Re:Die schlesischen Weber(シレジアの職工)(05/25) 引用されている本にはかなり重大な誤訳が…
名良橋@ Re:言挙げせぬ国(01/04) YouTubeで虎ノ門ニュースをご覧下さい 自…
http://buycialisky.com/@ Re:これでいこう(04/05) cialis vs viagra pros and conscialis so…
http://buycialisky.com/@ Re:鼓腹撃壌(12/25) cialis alcohol efectoscialis 5mg tablet…
http://buycialisky.com/@ Re:横浜遠足(04/30) what do cialis tablets docialis typeson…

Freepage List


© Rakuten Group, Inc.
X