カテゴリ:作物
突然の雷雨
風も強い 運転中の車の灯りを点けた 思い出すことがあったような気がした でも思い出せなかった フロントを打つ大粒の雨 水はワイパーと格闘していた でも思い出せなかった 「考えていると、また逆走するよ」 妻が呟いた そのことではない 義父をショート・ステイ先の病院から家に連れて帰るとき 道を間違えたのだった 気づくのが遅かったら 事故を起こしていたろう 雷雨なのだ あのときと思った そのシルエットがかすんでから何十年かがたったが それはあった 暗さのなかでも暗いから 思い出すためには目をとじるしかない 「いやだ」 妻が呟く 道はどこまでも晴れていて 辺りには一台の車も通っていないのだ たしかに私たちはこれ以上もなく 暗と明に順応してきた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 28, 2007 09:57:09 PM
コメント(0) | コメントを書く
[作物] カテゴリの最新記事
|
|