カテゴリ:連詩
1
小さな地震(なゐ)振る夜。 食後にちいさないさかいを デザートのように。 新蕎麦のおいしい鉱泉宿を 二人のタレントがレポートしている、 テレビのなかの匂い立つ蕎麦。 傷は隠されて疼く。 うまくつなげない、 といって悪く切っているのではない。 手打ちにいたるまでには、 修練を積まなければならないが、 転がっている言葉のダマが 棘のように泣いているのだ。 (英己) 2 箱根は、雪か はや、小さな冬景色 小さなナイトフル、nightfall 黄昏か、また シンシンとした夜の瀧津瀬を前に 越前福井のおろし蕎麦が喰いたい ものを喰えば、何故か、悲しくなる 悲しみ 隠されたものこそ、命 シンシンと生きている わたしは (英哉) 3 酒に渇いた、喉を焼く、鳥の羽ばたき、不意に 閉ざされた、黄昏の、窓辺に 静かに「羽毛」が降り積もっている 温泉宿の、床の中で 波に呑まれた、小舟のように 乱された、食欲と性欲、静かに、埋もれる、「羽ばたき」、のような時間が 優しく腐乱している (啓之)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 30, 2007 04:00:44 PM
コメント(0) | コメントを書く
[連詩] カテゴリの最新記事
|
|