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詩人たちの島

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December 1, 2007
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カテゴリ:連詩

小さな地震(なゐ)振る夜。
食後にちいさないさかいを
デザートのように。
新蕎麦のおいしい鉱泉宿を
二人のタレントがレポートしている、
テレビのなかの匂い立つ蕎麦。

傷は隠されて疼く。
うまくつなげない、
といって悪く切っているのではない。
手打ちにいたるまでには、
修練を積まなければならないが、
転がっている言葉のダマが
棘のように泣いているのだ。        (英己)


箱根は、雪か
はや、小さな冬景色
小さなナイトフル、nightfall
黄昏か、また
シンシンとした夜の瀧津瀬を前に
越前福井のおろし蕎麦が喰いたい
ものを喰えば、何故か、悲しくなる
悲しみ
隠されたものこそ、命
シンシンと生きている
わたしは                 (英哉)


酒に渇いた、喉を焼く、鳥の羽ばたき、不意に
閉ざされた、黄昏の、窓辺に
静かに「羽毛」が降り積もっている
温泉宿の、床の中で
波に呑まれた、小舟のように
乱された、食欲と性欲、静かに、埋もれる、「羽ばたき」、のような時間が
優しく腐乱している        (啓之)


喉を焼いて、言葉は、羽ばたく
歌い、羽ばたくごとに、「羽毛」が
天へと舞い戻って行き
時間は、堆積する。
そこでは、透明な言葉を獲得する。
だれの耳にも聞こえない。
静謐な、深き声よ
小舟が、そっと、岸辺を離れる       (英哉)

5
浅さが深みであったり、エンジンが薔薇であったり、
ことばがたばこでしかない、しがない詩
の、ささやきを満載して、スロー・ボートはチャイナに、
偽装の都に、ジャパンに、すべてが偽装の国に、

ブラブラ、ベラベラ喋りつづけるオタクの詩人に遭った。
坑夫のように母語がつるはしの音を立てる詩人に遭った。
所有をひた走るものの、毛のような軽さ、
奪われたものの、色彩豊かな響き、異邦の言語たち。

師走の穴八幡は一陽来復を狙っている。    (英己)


(注ならびに連絡)

静けさに、罅を入れたくて、というより、静けさを受ける余裕が今の私にはなかったので、憤怒の形相になりました。六連からなる連詩で、こういう連は掟破りかもしれないけど、最後の連を鈴木君に託します。よろしく。






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Last updated  December 1, 2007 09:38:41 PM
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