liars in public places
2回目の都立大。ぼくの訳出はやっぱり間違っていた。前の日記の、”some syne”はsyneという言葉がわからず、辞書にあたったところ中世頃のスコットランドの言葉でsinceと、下の日記に訳出したような「すすぐ、洗う」という意味があるとあったのを恣意的にsinceではないし、洗うほうだと決めたもの。実は”some old”ということらしいと三宅先生から訂正された。つまり、狂気の主人公は「いくらか年とったハナミズキ」を自分の恋人として発見したということです。以上訂正します。帰りの電車で岩波文庫の「アメリカ名詩選」のパウンドの詩を読む。有名な長詩”Hugh Selwyn Mauberley”の第一部4が原詩とともに訳出されている。以下に掲げる部分は今日の日本の状況と正確に相似形をなす。Died some, pro patria, non “dulce” non “et décor”. . .walked eye-deep in hell believing in old men’s lies, then unbelievingcame home, home to a lie,home to many deceits,home to old lies and new infamy;usury age-old and age-thickand liars in public places.ある者は「祖国のために」死んだ、 だが「楽しく」も、「名誉」でもなく…眼までどっぷりと地獄につかり、年寄りの嘘八百を信じ込み、それから不審を抱いて、故郷へ帰ってきた。嘘の待つふるさとへ―おびただしい欺瞞、古い嘘や新しい破廉恥、大昔から甲羅の生えた高利貸し、そして公共の場の嘘つきどもが待ち構える故郷へ。「公共の場の嘘つきども」というフレーズ、liars in public placesの待ち構える「故郷」へ「人質」たちは帰還したのである。岩波文庫の解説によると、この部分は「戦争(直接には第一次大戦)の無意味さと背後の偽善を告発する」とあるが、この日本もその時代と同じで、もしかしたらそういう戦争を起こしたいと思う連中が牛耳っているような感じがしてならない。