Bush's state of the union address感想
ブッシュの05年の一般教書(the state of union address)のtranscriptを読んでみた。次のような箇所があった。The United States has no right, no desire, and no intention to impose our form of government on anyone else. That is one of the main differences between us and our enemies. They seek to impose and expand an empire of oppression, in which a tiny group of brutal, self-appointed rulers control every aspect of every life.(アメリカは自国の政体をいかなる他の国にも強要する権利も意図もない。我々と敵との大きな違いがそれだ。敵は抑圧の帝国を強制し押し広げようとしている。その中の粗暴な小さなグループの自らを支配者と決めたものが、すべての人々の生のすべてのあり方を抑圧しようとしているのだ。)まあこんな調子で「自らの自由」を礼賛するのだから、やりきれない気持がするのは私だけではあるまい。普遍性は自らにだけあり、そこからしかいかなる有効な価値も生まれないと考えている。ちょうどオスカーを獲得した俳優が受賞演説しているみたいなもので、連邦議会を埋め尽くした議員や招かれた人々も、本当はどういう気持で拍手喝采していたのかわかるものではない。赤点スレスレだった高校生が野球かなんかで活躍して急にその存在を認められて、全校生徒のまえで表彰をうけているようなものでもある。イラクの選挙がそれにあたる。共和党員はみんな人差し指を紫にそめて出席したというのも面白くまたおかしい。イラクの選挙で、選挙に行った人々を確定するために人差し指にインクをつけたのをまねしたらしい。こういう演出を真剣に考えるところが、ある種のアメリカ人の「理想主義的」あるいは「トランセンデンタリスト」的なところかもしれない。これが中指だったらこういう真似はさすがの議員たちも遠慮したに違いない。しかし、そういう思いで人差し指をひそかに掲げたものもいたかもしれない。任期の節目節目にこういう「祭り」を持ってきて、盛大にアピールしていくこと。「自由」を連呼したのは二期目の就任演説だったが、その自由も辛辣なコラムニストからは「リアリティからの自由」などと皮肉られたが、今回の教書はどういう具合に受け止められたのか。社会保険制度に「自己勘定」personal accounts制度を組み込むという構想などは、すぐにまた関係のある企業に利益をあげさせるだけでないかと思ってしまう。そして日本もまたこういうことを真似するだろうなと、だれかの顔が思い浮かんだりする、どうも「お祭り」にはそぐわない感想ばかりだ。我々は世界の指導者として、この人とよく似た人を持ったような記憶がある。だれであったかはすぐには思い出せないけど、「終焉」のときにははっきりと認定できるであろう。ブッシュはその演説の最後で次のように言っている。In these four years, Americans have seen the unfolding of large events. We have known times of sorrow, and hours of uncertainty, and days of victory. In all this history, even when we have disagreed, we have seen threads of purpose that unite us. The attack on freedom in our world has reaffirmed our confidence in freedom's power to change the world. We're all part of a great venture: To extend the promise of freedom in our country, to renew the values that sustain our liberty and to spread the peace that freedom brings. As Franklin Roosevelt once reminded Americans, "Each age is a dream that is dying, or one that is coming to birth." And we live in the country where the biggest dreams are born. The abolition of slavery was only a dream, until it was fulfilled. The liberation of Europe from fascism was only a dream, until it was achieved. The fall of imperial communism was only a dream, until one day it was accomplished. Our generation has dreams of its own, and we also go forward with confidence. The road of providence is uneven and unpredictable, yet we know where it leads: It leads to freedom. Thank you, and may God bless America.格調だけはあくまで高い。しかし現実にはだれもこんな自由を享受していないことは確かである。「自由」はこの口にはなく、今もっとも不自由なもののなかにしか存在しないことはまさに「神の摂理の道」の指し示すとおりであり、それは古今東西の真理でもあろう。