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November 12, 2006
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カテゴリ:イルカの話
初めはビビってビビってどうしようもなかった男の子は、
イルカとのランデブーを繰り返すにつれ、
どんどん自信がついていきました。

「おれはなぁ、イルカに好かれとるんや!」


彼はいろいろなことに積極的になっていきました。
現地スタッフに英語で話しかけてみたり。
この地域特有の「ゆでピーナッツ」に手を出してみたり。
些細なことですが、「新しいことに挑戦する」ということは、
内的に充足していないとできないことです。
また、その一つひとつに気づいてあげること。
彼の挑戦を認めてあげることが大切です。
何事も、ほとんどは小さなステップの積み重ねです。
一発で劇的な変化が起こることはそうありません。


泳ぎにも積極的になりました。
初日、脚が硬直してバタ足もできなかった彼が、
フロートに助けてもらいながら自由に手足を動かせるようになりました。
フィンにも挑戦しました。
パニックを起こす原因にもなるために封印していたフィンですが、
水中を楽しむ余裕の出てきた彼を見ていて、大丈夫と判断しました。
これで彼は、周囲の子どもたちと比べても、
「特別扱い」ではなくなってきました。

「おれ泳げるようになったでぇ!」

「そうそう。頑張ってるなぁ。」

彼の鼻息はどんどん荒くなっていきました。


それが今度はまた新たな問題を起こしつつありました。
周囲の子たちとの軋轢を生み始めたのです。
そりゃそうです。
口を開けば自分の自慢話。車の中でも一人でハイな状態。
周囲のイライラが募っているのが感じられました。

ある晩、夕食の席で、ある女の子が嫌いな食べ物を残しているのをみて、
彼が「おれだって泳げるようになったんだから、お前も食べろ!」と
からみました。
周りが諌めると、彼は「食べろ!食べろ!食べろ!」と逆ギレ。
結局、女の子は泣いて引きこもり、男の子は大混乱。
グループは「女の子を慰める班」と「男の子を諭す班」に分かれました。
「男の子を諭す班」では、
彼は「おれだって頑張ってるのにぃぃ!」と泣いて訴えていました。

そうなんですね。
頑張ってるんです。彼は今。


今まできっと、
頑張ってもほめてもらえることがなかったのかな。
だからきっと一生懸命アピールした。
それに対しては、おそらく、ウザがられたか、
聞いてもらえる時間がなかったか、
誉められることなくさらに大きな目標を与えられたか・・・
やがて彼は努力することをしなくなってしまった。

それが今、頑張ってる。
誉められもしている。
「チャンス!」
今までの分も、たっぷり誉められたい!認められたい!
「オレは頑張ってるんだあ!」と精一杯叫びたいでしょう。

でも、またこうやって問題を起こしてしまった。
「おれだって頑張ってるのにぃぃ!」
「なんで上手くいかないんだよぉぉ!」
泣いて苦しんでいるかと思えば、急に
「トーロは認めてくれてるんだからいいんだ!」と逆ギレ。


ボクは遠くで聞き耳を立てながら別のことをしていました。
そこにボランティアで参加していた大学生が来て、
「トーロ、あの子と話してあげてよお」と言ってきました。

「・・・やめとくよ。」

大学生はビックリしてました。

ボクはもう違うことを見ていました。
彼の周りには、5人の仲間が集まって真剣に向かい合ってる。
彼に対して「ああしたら?」「こうしたら?」とアドバイスしたり、
「今日イルカに会えなかった人もいるんだから、
自分だけそんなに自慢しちゃダメだよ」とか。
5人の仲間が彼のためにそこにいる。
彼にアテンションがかかってる。
そんなことは彼にとって初めてだろうし、
もしかしたら周りの不登校の子たちにとっても初めてかもしれない。
そこで問題が解決されるかどうかは関係なく、
そのこと自体が素晴らしいと思いました。

今ボクが入っていってそれを壊すのももったいないし、
彼に長年不足していた「成功経験」を
そこで満たしてあげられるわけでもないからです。

「そうだね」と大学生は言い、一緒に夕食の片付けを始めました。

「男の子を諭す班」は夜中まで何時間も話し続けました。
結局、彼らの結論は、
「トーロが誉めて彼を調子に乗せたのがいけないんだ」
ということになったようです。

ん?オレか? ...まぁ、それはそれでいっか...


次の日、イルカたちはまた彼に寄ってくれていました。
「いいなぁお前らは。余計な心配しなくていいんだから。」
ありがたい半分、ついそんな言葉をイルカに向けてしまいました。







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最終更新日  November 12, 2006 04:26:13 PM
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