カテゴリ:漫画
さて。旅行つながりで本日はこの漫画のご紹介。というのも先月末、わしらが沖縄に行くより一週間ほど早くおかんが神戸旅行に行ってきて、土産をもらったので。
神戸在住 全10巻 東京出身で神戸の大学の美術科に通う女子大生、辰木桂の視点を通し、神戸の町や人々の移ろいを叙情性豊かに描いた秀作がついに完結しました。 主人公の桂は、やや大人しめでおくて、おしゃれや恋に夢中にはならないけれど、家族や友達、自分をちゃんと大事にできる本好きの女の子。 細やかな感性の女の子視点で、なんでもない日常から、さまざまな人との出会いや出来事を、やや淡々とした語り口ではありますが、エッセイ風に至極丁寧に描かれています。今風にトーンを多用せず、定規すら使わずに線の太い細いだけで濃淡をつけた素朴ながらも繊細な画面が、独特の雰囲気で素敵です。 実在するスポットもたくさん登場し、欄外で作者がそれに解説をつけたりもしてあり、一度神戸に行ってみたい気になります。 けれど、この作品の見所はただ神戸という地域を取り上げているというだけではありません。 ある女の子の日常というスタンスを崩すことはないのですが、身体障害者や性的マイノリティとの交流、親しい人の生と死、大学生らしく人生の進路への迷いなど、作者の優しくも厳しい目が感じられます。 一例を挙げれば、阪神淡路大震災…桂自身は東京にいた高校生時分の事で被災してはいませんが、彼女の周りに多く在る…あの大惨事の傷跡を残す人々を通し、TVやラジオを通してみる他人事の災害と生の痛み、またあくまで非被災者として慮ることしかできない桂=読者のなんともいえない違和感を実によく表しています。 数回登場する人物だけではなく、ほぼ通りすがりの人物までもが実によく描き込まれており魅力的です。逆にいくら親しい人でも全てを知りえる訳ではなく、神の視点は持たないけれど、だからこそ今本当にその世界の中にいるような不思議な感覚があります。 全10巻。長いと思うか短いと思うかは人それぞれでしょうが、どちらにしてもこの本は一息に読むのではなく、本棚に納めてふと一冊を手に取り、長く何度も読む本だと思います。ぜひ、1巻からお手にとってみて下さい。 ちなみに、10巻が出る前に刊行された新作「巨娘」 181cm、焼き鳥チェーン店店長のジョーさんが主人公のギャグマンガ? 手法的にはあまり変わってないのにぜんぜん世界が違う… 並ぶものなき男前の巨娘・ジョーさんに出会って改めて木村紺さんに惚れ直しました。 こっちもおすすめ~ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008.02.12 01:08:07
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