|
カテゴリ:カテゴリ未分類
「患者さん」と「患者様」
私は、父が歯科医で家と病院が繋がっていたので、小さい頃から病院と家を行ったり来たりして遊びながら育ちました。高校生の時からアルバイトを始め、大学生の時も1人暮らしをしながら歯科助手として働いていました。その時はまだ「患者さん」はどこへ行っても「患者さん」でした。 はじめて「患者様」という言葉を聞いたのは、歯科衛生士学校1年の時の合宿だったと思います。コミュニケーション学という科目を学ぶための2泊3日の合宿だったのですが、人間関係学の先生が、受付対患者の会話を実践するところで初めて「患者様」という言葉を聞いたのです。その時に感じた、何とも言えない違和感は、今でも忘れることができません。 「患者さん」と「患者様」 皆さんは、この使い分けをどう思いますか? 私は「患者さん」という呼び方にすっかり慣れ親しんでしまっているため、どうしても、「患者様」という言葉を使わなければならなくなる時、一瞬構えてしまいます。 犬も歩けば歯医者に当たる。 コンビニより多い歯科医院。 歯科医療者にとって、現在のこの飽和状態の業界内で生き抜くことは、弱肉強食のサバイバルゲーム。サービス業、水商売となってしまうのも仕方のないことではありますが、やはり「患者さん」は「患者さん」なのではないかと思うのです。スーパーやブティックに、自らの自由な時間とお金をかけて、完璧な必需品とはいえないが生活の潤いとなるものを求めて足を運ぶ人とは、やはり少し違う気がするのです。 こう言ってはいけないのかもしれませんが、歯科を含め医療を受診する人々は、何らかの形であれ、「そこにかからざるをえない状況」にあるわけです。そして、その原因の多くは自分自身にあることが多い。特に、歯科に関して言えば、虫歯や歯周病と言った多くの症状はほとんどが自己責任です。 自分の口の中が悪くなってしまったのは、自分の責任です。それなのに、生存競争激しい歯科業界はすっかり水商売と化し、患者さんの口腔内への危機感や意識はそれほど触発されることもなく、安価な材料でスピード重視の治療の元、医原病(行った治療が原因で新たに起こる病気)が再生産されていく…。 言いすぎかもしれませんが、私の見てきた現実は、少なからずこれに当てはまります。 私は、患者さんに対し、歯科医院は口腔疾患を治療「する」場所であり、起こった病気はあくまで自己責任なんです。というメッセージを込めて「患者様」という言葉はできるだけ使わないようにしています。 うまく言えないけれど…。 「患者さん」はあくまで「患者さん」。 古いといわれるかもしれませんが、私はそう思って仕事をしています。 これに関しては、また後の機会に書こうと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|