今回の安保法案には反対だが、それでいいのか
安倍首相の支持率が急落している。今回の安保法案は確かに戦争をするための法案だ。憲法違反だとも思う。しかし、安倍首相が積極的に国防や外交に目を向けた政治姿勢は評価に値すると私は思う。ニュースでは、何のために安倍首相がこの法案を出さなくてはいけないと思ったのかについては、報道も議論もされていないように思う。根本の問題についてはほとんど触れられていない。これまでの日本は資源もなく、経済だけの魅力のない小さな島国だった。しかし、今は違う。豊富な海洋の地下資源に恵まれた資源大国になろうとしている。中国は歴史が浅く(多くの王朝が滅び、また歴史は正しく国民に学ばれず資料も多くは台湾にある)、未成熟で欲深い国家に見える。言ったもの勝ち、取ったもの勝ち、だまされた方が悪い、だまして奪ってしまえばいい、強いものが弱いものを支配するのが当然、というように見える国にどのように対処するのか。中国は、ここは自分達の領土だと主張する、その後漁船が入ってくる、そしてその漁船の保護のため海軍が入ってくる。そのまま軍事的に支配し、施設を作り人が住んで自国領として既成事実化する。このようなやり方にどのように対処するか、武力によらない対案はないのか。植民地時代には多くの国家が滅ぼされ欧米に支配された。日本はなぜ植民地にならずにすんだのか。資源に乏しく魅力がなかったわけではないだろう。危機意識を持った先人たちはまず軍備を整え、その上で軍事力を背景にした外交があったからではないか。世界中の人々が一斉に欲望を捨て、平和を第一に考える、という意識に立てればいいのだが、残念ながらそれは無理な話だ。日本のように米国の庇護の下で平和を享受し国民全体が欲の少ない国と中国のように欲だらけの国の利害がぶつかったら、日本はほとんど全て取られてしまうだろう。それでもいいと皆が思っているのだろうか。サンゴも取られるだけ取られてしまった。ほとんど何もできなかったではないか。これからも全部取られてしまってもいいと?国連も世界の警察ではない。各国の国益に基づいた意見が集まって国連が動く。ロシアや中国への抑止はやはりNATOの軍事力以外には各国個別の経済制裁程度だろう。既に守りに入っていて、今急に資源大国になりつつあり、また太平洋への通り道にある邪魔な存在である日本が、今後中国に少しずつ削り取られるかも知れないと思うと気が滅入る。戦争には反対だ。今度の安保法案にも反対だ。しかし、では今中国にどう対応するのか。マスコミの文化人は戦争反対には声高に主張する。だが、中国と利害がぶつかったときの対応については今まで何ら有効な策を示していない。中国の国内事情や中国人の欲深さの解説をするに留まり、「平和のため日本がこのまま全部譲って見返りも求めないようにしましょう、平和が第一です」、というメッセージをそれとなく国民に発信しているようにも感じられる。今せっかく政治に関心が向いたのだから、マスコミは今後の中国の欲に対してどう対応すべきなのか、どんどん意見を報道して、国民意識を高めてほしい。今のままでは安倍首相が戦争したいために安保法案を出したかのような言われ方だ。戦争をすることが目的ではなく、この国を守るために今回の安保法案が必要だと彼は考えたと思う。反対するのならば、「この国を守るためにどうしたらいいか」を常に考えている、あるいは今後考えていきますという姿勢が必要だと思う。(そうでなければ、全て譲って構わないという覚悟があるというのだろうか。)「話し合いに応じず武力行使前提で向かってくる他国と利害がぶつかったときにどう対応するか」ということを、常にマスコミは国民に問いかけるべきだ。