カテゴリ:お仕事
新聞に気になる投稿記事が載っていました。投稿者は女性会社員。
[要約です] 認知症のお母さんが腕を骨折して入院した。少しよくなってからは、夜寝られるようにと昼間、ベッドの端に座らされっぱなしだった。心細さにおびえたお母さんは看護師が来るのも怖がり、娘に「家に帰りたい」「また来て」と訴えていた。リハビリは2ヶ月の予定だったが、1ヶ月半で退院させられた。リハビリはほとんどなく、機能は低下したままだった。病院側のいたわり、思いやりは感じられなかった。人としての尊厳が守られているとは言えない状況だった。 患者家族の思いです。きっと、医療従事者でない人は、ひどい病院だ、とんでもない看護師たちだ、と思うのではないでしょうか。 看護師の視点で読むと、昼間、患者さんを起こしておくのは基本中の基本です。認知症があるならなおさらでしょう。昼夜逆転すると、見当識障害が悪化する可能性も高くなります。 座らされっぱなしだったって…見てたなら、ご家族の方が散歩にでも連れ出してあげたらよかったのに、腕の骨折なら、外出外泊に連れ出してあげたらよかったのに…と思うのは勝手でしょうか。 また、お母さんの怯えた態度は、環境の変化によるものかもしれません。手術だけでも、状況が理解しづらい認知症の患者さんにとっては恐ろしいことです。その後も家族がそばにいてくれるわけでもなく、知らない人々に囲まれているわけですから、怖いと感じることがあるのは無理もありません。もしも、快適なホテルに泊まっても、家族が一緒でなければ同じように怯えられるのではないでしょうか。 2ヶ月のリハビリが必要なところを、早めに退院、としたこともよい選択に思えます。高齢者、特に認知症がある方は、早く慣れた環境に戻してあげる方が回復が早いです。 リハビリがほとんどなかった、という点は、私の勤務する病院であれば、理学療法士によって行われる10~30分程度のリハビリが1日1回ですので、1日中付き添っているわけではない家族には、ほとんどないとうつることでしょう。 もちろん、私がその病院で、どのような看護が行われているか知っているはずもありません。ただ、そういう見方もできるということです。本当に、ひどい病院かもしれません。看護師も碌でもない人ばかりだったのかもしれません。 でも、私は、単なるコミュニケーション不足なのではないか、と思うんです。医師や看護師と投書者がちゃんと話をしていたら、こういう批判的な投稿をするようなことには至らなかったのではないか、と思います。 看護師、人手不足です。2対1の看護、なんて言ってますけど、あの数字、意味あるのでしょうか。一人の看護師が一体何人受け持って走り回って、サービス残業してへとへとになって、燃え尽きていると思っているのでしょうか。うちの病棟なんて、幽霊部員ならぬ幽霊看護師までいます。 まずいかな、こんなこと言っちゃ。病棟勤務じゃない人が病棟勤務扱いです。腹立ちます。そんなところが多いのかもと思います。 日本の看護師数、欧米に比べると格段に少ないです。色々と不平不満はありますが、欧米に比べたら、医療保険は手厚いですよ。どんなに貧しくても、ほどほどな高度医療を受けることができます。日本の医療機関はお金がないから治療拒否なんてしませんよ。さらに、患者一人当たりの看護師の数も格段に違うそうです。まあ、そうでないと欧米の方々は働かないそうですし。日本の看護師…頑張ってるんです。ひどい労働条件で。 ただ、お偉いさんたちは、よい看護ができないことに関して、忙しさを理由にするな!と綺麗ごとを言います。だけど、身はひとつなんですよ。重症な人の看護が優先でしょう。 そういうところですから、本当に家族のことを思うなら、しっかり面会に来てください。ちょっと顔見て帰るとか、寂しい限りじゃないですか。自分の身内なんですから。大切な親なんですから。誰が一日中リハビリを積極的にしてくれると言うんです。「私でできるリハビリはないでしょうか」と言ってくれてもいいんです。熱心な家族はそう言います。てことは、看護師からも、家族でできるリハビリを説明したらいいと思うんです。「来られた時でいいですから、こうやって下さい」とか。だって、手がないんですもん。 本来なら医療従事者から、色々な働きかけ、説明などあってしかるべきだとは思いますが、そういったところばかりではないと思います。家族が黙っていたら、わかっているのだろうということで、たいした説明もないということもあると思います。それでなくてもヘロヘロになっているスタッフです。 じゃ、どうしたらいいのか。 以下は私の個人的な意見です。 もしも、家族が入院したら、積極的に医療従事者に声を掛けてください。 一方的に要求するばかりでは、スタッフも人間ですので非常に嫌われます。 面会時、ふらっときて、黙って帰ってはいけません。 面会に来たことをアピールしておきましょう。挨拶したり、世間話も少しして(スタッフは忙しいので、長くはいけません)自分がいないときの患者の様子を聞いたりしましょう。何かできることはないか、聞いてみたりしてもいいと思います。洗濯物やオムツなどは不足のないようにしておきましょう。足りないものはないかなど、時々聞いてみましょう。帰る時にも声を掛けましょう。 医療機関に任せっぱなしはいけません。 子供の教育を学校に任せっぱなしではいけないのと同じようなことだと思います。 「金払って入院させてるんだ、完全看護だろ!」 …ということでは、坊主憎けりゃ、袈裟までなんとやら…てなことになりまねません。 もちろん、仕事なのでちゃんとやりますし、患者さんにあたるなんてひどいことはしませんが、気持ちの問題です。 わかりました、あなたの家族に対する思いはその程度ですね、ってことになるわけです。 家族の面会の回数が少ない、面会時間が短い患者さん…かわいそうよね、と私たち、言います。家族の事情、多少はわかりますが、詳しいことまではわかりません。たまに、介護しないといけない人が家にもいて、なんて方もいらっしゃいます。そういうことならわかります。 「仕事が忙しくて面会には滅多に来られません」 仕事が忙しいのは、私たちも忙しいからわかります、わかりますが、それで、いいんですか。 生活を脅かすほどのことをして下さいとは言いません。 できることはして下さい、と思うんです。 私、要するに、投稿記事にがっかりしたんです。 私たちのやってることって、報われないこと、多いな~と。 結局は人間関係です。 言葉も選びましょう。 お互いに。 すみません。もしかして、理不尽なこと言ったでしょうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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