出かける前は、笠置山の笠置寺(虚空蔵菩薩摩崖仏)に行きたいと思っていましたが、
昨日足に豆ができてしまったので、かなり歩きそうな笠置寺はやめて、
当麻寺に行きました。
当麻寺には十数年前に行ったときに不思議な体験があったり、
心惹かれることがあったのでまた行くことにしたのですが、
(詳しいことは書きませんが)やはり今回もそのようなことがありました。
十数年前に行った時は、二上山神社口から二上山に登り、
そこから当麻寺に降りて行きましたが、今回は、当麻寺駅から直接行きました。
東大門から入りました。
中将姫
当麻寺は中将姫蓮糸曼荼羅(当麻曼荼羅)の伝説で名高いお寺です。
門をくぐると、初めに目に付いたのが、梵鐘でした。
日本最古の梵鐘(白鳳時代・国宝)ということでしたが、
網がかかっていたのが興醒めでした。
左手に中之坊を見ながら奥に進むと、金堂と講堂の間に曼荼羅堂が
見えました。
↑この図は当麻寺中之坊HPより借用
正面が本堂(曼荼羅堂・まんだらどう)です。
中将姫の當麻曼荼羅をご本尊としてお祀りするお堂です。
左側は、金堂です。 右側が講堂です。
當麻寺本来の中心のお堂で、 ご本尊は丈六の阿弥陀如来で
日本最古の塑像・弥勒仏(白鳳時代・国宝)を 藤原期の仏像(重文)です。
本尊とし、日本最古の乾漆・四天王 その他、珍しい妙幢菩薩(みょうどうぼさつ 弘仁時代・重文)や、
(白鳳時代・重文)が四方を守護しています。 地蔵菩薩(藤原・重文)など、おもに平安時代の仏像が祀られています。
まず、曼荼羅堂に入りました。
初め、左手の弘法大師参籠間で弘法大師様のお顔を眺めていました。
その後、中央のご本尊である文亀曼荼羅(蓮糸曼荼羅を文亀年間に転写したもの)
の前に座り、テープで流れる説明を聴きながらずっと座っていました。
(以前訪れた時に買い求めたこの蓮糸曼荼羅のコピーが、我が家には
ずっと飾ってあります。)
次に、右手の十一面観音様(織姫観音と呼ばれる一木彫)の前に立つと、
なぜか「お久しぶりにお会いします」という言葉が出て、次に「ありがとうございます」と
いう言葉が出てきて、ずっと繰り返していました。(私しかいなかったので)
そうしているうちに胸がいっぱいになって涙が出そうになりました。
その後金堂と講堂の中でお坊様の説明を受けながら拝観させていただきました。
金堂では、四天王のお顔がインド風なのが印象に残りました。
講堂では、阿弥陀様も良かったですが、妙幢菩薩のお顔が愛らしく感じました。
どちらのお堂も、荘厳な空気の中で、いらっしゃる仏様も立派でした。
それから、三重塔(西塔)をゆっくりと眺めました。
塔の上の水煙を眺めていると、
ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なるひとひらの雲
という佐佐木信綱さんの有名な短歌を思い出しました。
この当麻寺三重塔上の相輪は東西塔とも8つであるのは珍しいようです。
(他の寺院では9つ)
當麻寺のシンボルとしてそびえる双塔は、創建時のまま揃う全国唯一のものです。
特に注目されるのが水煙(すいえん・塔のてっぺんの部分)で、東塔は極めて特異な魚骨形。
その後、當麻寺遷造の時、西南院に坤(裏鬼門)の守り寺院として創建されたのが
始まりという西南院に行きました。
石楠花や牡丹の時季ではなく、お花は見られませんでしたが、
池泉回遊式庭園が素晴らしく(ここでも私だけで静かでした)
水琴窟の音を楽しんだり、みはらし台から二基の三重塔を
ゆっくり眺めることができました。
それから、行く前はそこで写仏をしたいと思っていた中之坊
(當麻寺開創に伴い、役行者が道場として開いたとか)へ行き、
写仏はせずに拝観だけしました。
大和三名園と賞される池泉回遊式兼観賞式庭園「香藕園」には
やはり私だけでした。
霊宝館の宝物にも見るべきものがありました。
またそこには一字写経というものがあったので、私も書きましたが、
文字は「不」でした。
中之坊には、以前、高野山に行ったときから使っている陀羅尼助が
ありましたので、帰りに買ってきました。
そろそろ引き上げようと門の方へ戻りかけると、
たくさんの猫ちゃんたちがいました。〔昨日からやたら猫ちゃんに出会っています。〕
いろいろな色の猫ちゃん、子猫ちゃんもいて、みんなで仲良く
気持ちよさそうに日向ぼっこをしていました。
当麻寺でゆっくりと過ごしてから、駅までの道も少し遠回りをしながら
駅に戻った時には、2時になっていました。
おなかも空いたので、駅の近くの「当麻名物 中将餅」というお店で
よもぎ餅のぜんざいをいただきました。(写真は少しいただいてから写しています。)
温かくてやわらかくおいしいぜんざいで一息ついてから駅に戻りました。
ホームから二上山が見えました。
二上山は、大和の国の西に位置し、夕陽が2つの峰の中間に沈むことから、
西方極楽浄土の入口、死者の魂がおもむく先であると考えられた特別な山でした。
当麻の地は折口信夫(釈迢空)の幻想的な小説『死者の書』の舞台としても知られています。
前回は帰りの電車の中からちょうど二上山に沈む夕日を見ることができましたが、
その感動的な光景は今も脳裏に鮮やかによみがえります。
~ 続く( この後、大野寺と長谷寺に行きます)