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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(ハチ)
北隆館の圖鑑に拠ると、キンケ雌の体長は17~27mm、ヒメ雌は15~22mmである。これだと範囲がかなり重複しているが、これまでの印象としては、ヒメ雌はキンケ雌の小型の個体程度の大きさ、と言う感じである。 一見して明らかな様に、キンケの毛が正に「金毛」なのに対し、ヒメの毛はずっと白っぽく、頭や胸背に余り毛が生えていない。また、キンケの翅の色は茶色を帯びているが、ヒメの方は殆ど無色透明で、写真では一寸分かり難いが、翅の先端近くに明らかな暗色斑がある。
このヒメの個体がやって来た場所は、前回紹介したハラビロカマキリの「カマちゃん」が潜んでいる場所から僅か10cm位のところである。大きさとしては、丁度手頃の獲物なので、カマちゃんにやられるのではないかとヒヤヒヤしながら撮影していたが、やがて隣のセイタカアワダチソウの方に移った。先ずは一安心。
ヒメの雄は、何れ紹介するが、非常に臆病で直ぐに逃げてしまう。しかし、雌の方は余裕があると言うか、落ち着いていて簡単には逃げない。これはハラナガツチバチ類全体に通用することで、中には体を突いても逃げない雌が居る位である。 このヒメの個体も落ち着いており、セイタカアワダチソウの花穂を左手で持って、色々角度を変えながら撮影したのだが、逃げる気配は全く無かった。
ハラナガツチバチ類の幼虫は、ネキリムシを食べて育つ。聞くところに拠れば、雌バチはネキリムシのいる場所を感知すると、地上に降りてネキリムシの居る方へ地面を掘り進み、ネキリムシを刺して麻痺させてからその横に卵を産むとのこと。 しかし、どうも良く分からない。以前紹介した「クロヒメバチ?」の仲間の多くはスズメガ類の幼虫に寄生する。スズメガの幼虫は、普通のネキリムシよりもずっと大きいが、それ丸一匹を食べて育つヒメバチの大きさ(体重)は、普通のハラナガツチバチ類よりもかなり小さい。大型のキンケになると、その体重はクロヒメバチ類の数倍はあると思う。と言うことは、蛋白質量にしてスズメガ終齢幼虫の数倍のネキリムシを食べなければならないことになる。
スズメガの終齢幼虫は普通のネキリムシの10倍近い重さがあると思われる。そのスズメガ終齢幼虫の数匹分となると、1匹のハラナガツチバチの幼虫は数10匹のネキリムシを食べなければならない計算になる。 と言うことは、ハラナガツチバチの幼虫は親が用意したネキリムシを食べ尽くした後、更なる餌を求めて土中を探し回り、次から次へとネキリムシを食べて行くのだろう。
土中で餌を探し回るのはそれ程難しいことではないらしい。同じく幼虫がネキリムシを餌とするシオヤアブ等のムシヒキアブ類では、親は餌を用意することもなく木や草に産卵するので、孵化した幼虫は直ぐに地面や朽木の中に潜り込んで獲物を探し回らなければならない。 それから較べれば、ハラナガツチバチ類の幼虫は、少し大きくなるまでは親が用意した餌があるのだから、ずっと恵まれていると言える。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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