今日は赤紫色の花が咲く北米原産シオンの1種を紹介する。世間様ではこれを「友禅菊」と呼んでいるらしい。
しかし、「友禅菊」などと京を思わせる如何にも日本的な名前を付けるとは、半分詐欺の様なものである。ソモソモ雑草に毛の生えた様な植物なのだから、そんな名前は使わず、帰化植物並に「北米原産シオンの1種」としたいところだが、それでは白花の方と区別が付かなくなって些か困る。そこで表題を「北米原産シオンの1種(紫花)」とした。
北米原産シオンの1種(紫花).巷間では友禅菊と呼んでいるらしい
(2008/10/26)
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この「紫花」、やはり雑草に近いと見えて虫集めに関しては甚だ成績が宜しい。セイタカアワダチソウや「白花」に殆ど引けを取らない位に虫が集まる。一方、日本の栽培種の菊は「集虫度」がかなり低い。日本の栽培種の菊は種子では繁殖させないから、「集虫度」は淘汰の網に引っ掛からず、その結果として自然に低下したのであろう。
花が開く前の舌状花は色が濃いが、開くとその内側は
色が薄くなり、暫く経つとまた濃くなる
(2008/10/25)
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どんな虫が来るかと言うと、先日紹介したハラナガツチバチ類、ハナバチ類、ハナアブ類、
ツマグロキンバエやその他のハエ類、蝶や蛾類、更に何故か、
ヒトスジシマカ(特に雄)がやって来る。
先日紹介した
ブドウトリバもこの花がお気に入りの様で、一昨日はこの「紫花」と隣にあるセイタカアワダチソウの回りに5頭位が飛び回っていた。
こう言うキク科の花に虫がやってくるのは、殆ど花に陽が射している間だけである。しかし、陽が射す前にやって来る虫もいる。ヒラタアブ類とツマグロキンバエは出勤が早い。ハチ類は、最近は朝晩かなり寒いせいか、陽が射して暖かくならないとやって来ない。或いは、陽が射すと花の匂いが発散し、それにつられて虫達がやって来るのだろうか。
ヒトスジシマカもやって来る
(2008/10/26)
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虫が沢山集まっていれば、当然捕食者もやって来る。
ハラビロカマキリの「カマちゃん」はすっかりこの場所が気に入ったらしく、この1週間ばかりず~と御逗留である。その間に、分かっているだけでキンケハナラガツチバチの雄雌各1、ハナバチ類1、アシブトハナアブらしきアブ1,ツマグロヒョウモン雄1を食べている。ハラナガツチバチの様な固い虫は食べるのに時間が掛かるが、普通の虫は直ぐに食べ終わってしまうから、実際はこの2~3倍は食べているであろう。お腹が一杯になると?、目立たぬよう少し下がって下向きのままジッとしている。
この「紫花」、虫集めには絶好だが、一つだけ気に食わないことがある。花がやや赤っぽいのである。欧米から入った、或いは、逆輸入された青い花は、必ず少し赤味がさしている。キク類然り、テッセン(クレマチス)然り・・・。茶人であった祖母の薫陶を受けたものとしては、何故か知らぬが、これが何とも下品に感じられる。この花色では、姿がどんなに野菊風でも、祖母の目には叶わぬであろうと思う。
しかし、この花には今まで我が家では見たことのないハナアブもやって来たし、其処に集まる小型のアブやハエを狙う狩り蜂も出現した。御蔭で、これから何回かは、新顔の虫を紹介することが出来る。「紫花」様々である。