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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(アブラムシ)
このイバラヒゲナガアブラムシ、バラ専門のアブラムシである。名前の通り、園芸種のバラだけでなく、ノイバラにも寄生する。寄主転換はしないので、1年中バラの何処かにくっ付いている筈である。
イバラヒゲナガアブラムシは、肉眼では殆ど全身緑色に見える。しかし、拡大してみると、胸部の前の方と頭部は赤く、脚も腿節の半分より先は赤味を帯びている。角状管は黒く長く、先端が膨らんでいる。 有翅形は無翅形よりもやや小型で、全体にやや赤黒く、脚も腿節の後半以降は黒に近い色をしている。しかし、図鑑の写真を見ると、無翅形にもこの様な色をしたものがある。
このアブラムシ、最初の写真に見られる様に、吸汁するときに殆ど倒立に近い態勢を取ることが多い。これは肉眼で見ても良く分かる。始めは、逃げようとして口吻が抜けなくてこんな変な格好をしているのかと思っていたが、別にそう言う訳でもないらしい。かなり密な集団を作ることが多いので、面積当たりの頭数が増えると自然にこうなると思うが、それを繰り返している内にそれが習性になってしまったのかも知れない。
このイバラヒゲナガアブラムシ、我が家では、春と秋、家の南側の生垣となっているツルバラの新梢に必ず発生する。特に春は手の付けられないくらい沢山付くことがある。夏にはバラの生長が止まるので、このアブラムシも何処かに姿を潜める。 数年前、このアブラムシに関連して面白い経験をした。我が家は南に面しており、南側は隣家の駐車場になっているので、強い南風が吹くと我が家の庭は一種のビル風を生じて一寸スザマジイことになる。数年前の春、日本海に大きな低気圧が入り、東京では南風が吹き荒れた。台風クラスの風であった。この年、ツルバラにはこのアブラムシが例年よりずっと多く発生し、正にゴマンと付いていたのだが、この暴風で実に一匹残らず吹き飛んでしまった。余りに完璧に吹き飛んだのでビックリしたが、さぁ、その後、これまた沢山いた捕食者、特にテントウムシの幼虫が餌を失い、アブラムシを探して庭中をウロウロしているのにはもっとビックリした。後にも先にも、テントウムシの幼虫をこれ程沢山見たことはない。
2番目以降の写真の集団は、写真を撮り終わった数日後にヒラタアブ類の幼虫がやって来て、2~3日後には全滅した。最初の写真に写っているのは、その後で別の新梢に付いた集団だが、これも撮影した数日後には一匹も居なくなっていた。捕食者の威力と言うのは大したものである。 今年は、昨年と較べてアブラムシやコナジラミの発生がかなり少ない様である。昨年、コナラの葉裏にビッシリ付いていたコナジラミの蛹殻と思われる微小な斑点も今年は殆ど着いていない。今年はこのコナジラミの正体を見極めるつもりだったのだが、空振りに終わってしまった。この種の小さな寄生性昆虫の発生は、年により思ったよりもずっと大きく変動する様である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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