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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(ハチ)
体長は3.5mm、多くのアシブトコバチは5mm位なので、この種は小さめと言える。北隆館の新訂原色日本昆虫大圖鑑を見ると、チビツヤアシブトコバチ(Antrocephalus japonicus)と言う種が載っている。記載を読むと、「雌は体長3~4mm、触角の柄節(第1節)の先端、梗節(第2節)、環状節(梗節に続く狭い部分)は赤褐色、後脚は黒色であるが、脛節の先端と付節は若干赤褐色、胸部の点刻は密で、点刻間の間隔は狭い」とある。 脚の色についての記述は日本語として少し曖昧である。「後脚は[全体が]黒色であるが、[他の脚では]脛節の先端と付節は若干赤褐色」なのか、或いは、「後脚[の大部分]は黒色であるが、[その]脛節と付節は若干赤褐色」なのか、判然としない。前者の解釈をとれば、これらの記述は写真のコバチと一致する。また、写真のコバチは肩の部分が膨らんでおり、翅に茶色の部分がある。圖鑑の図版を見ると、この様な特徴はチビツヤアシブトコバチ以外には認められない。 それならば、チビツヤアシブトコバチとしたいところだが、北隆館の圖鑑に載っているアシブトコバチは僅か9種、酷似種が居るかも知れず、チビツヤアシブトコバチと決めつけるには些か証拠不充分である。其処で、此処では「チビツヤアシブトコバチ?」と「?」を付けて置いた。
アシブトコバチの仲間は、主に蝶や蛾、或いは、ハエ類の蛹や幼虫に内部寄生する。しかし、その寄生様式は様々で、単寄生(1宿主に1寄生)、多寄生(1宿主に同種複数が寄生)、共寄生(1宿主に異種複数が寄生)、二次寄生(寄生種に更に寄生)などが記録されているとのこと。先に可能性が高いとしたチビツヤアシブトコバチに関しては、圖鑑では「寄主は不明」と書かれている。 どうも最近は、我ながら味気ない分類や形態の話が多い。しかし、最近は検索で来訪される読者の数が非常に多く、同定の根拠や類似種との差異などを明確にする必要があると思われる。何卒御寛恕頂きたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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