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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(芋虫、毛虫)
今回は大小2個体を撮影した。最初の3枚の写真は体長2cm、後半の4枚の写真は3.5cmだから、2倍近くも違う(正確には1.75倍)。更に体積の方は、単純計算でその3乗の5.5倍にもなり、感覚的な迫力は相当に異なるので、撮影時には前者が3齢、後者が4齢と思っていた。しかし、画像を良く比較してみると体の作りは基本的に同じであり、また、固い外骨格で被われ、脱皮しない限りはその大きさが殆ど変化しないと考えられる頭部の幅は殆ど同じ(何れも3.0mm)でなので、何方も同じ4齢と判断せざろうを得ない。
前胸(第1胸節)の角は、それまでの尖った構造から、相対的にかなり小さな先の丸い突起となっており、其処には短い毛が多数生えている。お尻の方(第9腹節)の角も極く小さな突起となり、やはり短い毛が生えているのが認められる。
第2胸節~第2腹節、第6~第8腹節の背側には、丸い疣状の低い突起が散在する。突起によっては、その中心部に更に小さな丸い突起があって、其処に短い毛が生じている場合もある。 この疣状の突起の分布は2個体で同じである。他のアゲハ類(Papilio属)に関しては、手元に4齢幼虫の写真が無いので困るのだが、他のサイトの写真(余り鮮明でない)と比較してみると、ナミアゲハやカラスアゲハにも同じ様な配置をした疣がある様に見える。
背側や真横から見た大まかな形は、1番目と2番目の個体で余り違わない。しかし、頭部(本当の頭部、前方の膨らんだ部分ではない)の大きさが相対的に随分違っている。正面から見るとこれは非常に顕著で、1番目の個体では体の幅に対する頭の幅は約60%であるのに対し、2番目の個体では30%程度でしかない。 頭部の幅は殆ど(或いは、全く)変化しないと思われるので、その分だけ胸部、腹部が大きくなった訳である。特に、第3胸節と第1腹節が大きく膨らんでいる(この部分が遠目には頭の様に感じられる)。
また、正面から撮ったこの2頭の写真を見比べると、2番目の個体の方では角が短い様に見える。その顕著な角の少し後にある突起(小さな低い角)の高さも、2番目の方ではかなり低くなっている。これは、その角のある部分(第1胸節)が生長した結果、これらの角の部分が相対的に小さくなったからであろう。
2番目の個体を正面から撮った写真(上)には、体の最前部となっている第1胸節の背側中央に口の様な裂け目が見える。恐らく、此処から臭角を出すのであろう。写真には写っていないが、クロアゲハ幼虫の臭覚は鮮やかな紅色である。
今まで余りアゲハ類の若齢幼虫には興味が無かったのだが、この様に細部を見てみると結構面白い。幼虫の齢を判定する為に若齢幼虫の詳細な写真を検索してみたが、鮮明なものは殆ど無いのが実情の様である。今回は初齢と3齢を撮り逃したし、ナミアゲハも終齢以外は撮っていないので、今後機会があれば、まだ紹介していない各齢幼虫の詳細写真を掲載するのも、あながち無意味ではなかろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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