蝶(ルリタテハ、クロアゲハ)の幼虫の写真が溜まっているのだが、芋虫・毛虫を続けて掲載するのも何となく気が引けるので、今日はまたアシナガバエの1種を紹介することにする。
以前掲載したのと同じチビアシナガバエ(Chrysotus)属に属す。しかし、勿論、別種である。写真は拡大すると何れもピクセル等倍、画像はかなり酷いが、小さい虫ゆえ何卒御勘弁頂きたい。
チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(Chrysotus sp.)
背側から撮ると、ショウジョウバエに似ている
(写真クリックで拡大表示)
(2009/07/21)
|
今回のは体長2.6mm、翅端まで3.3mm、以前紹介した種類(体長約2.3mm、翅端まで2.6mm)よりやや大きい。体各部の色や、脚の剛毛配列も異なる。翅が体長に比してやや長いので、最初見たときは、ショウジョウバエの1種かと思った。
横から見ると、口の辺りが普通のハエとは違うことが分かる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/07/21)
|
しかし、顔を見ると、全然違う。何ともキッカイな顔をしている。その時は何バエなのか分からなかったが、後で、アシナガバエ科の1種であることが分かった。もう何回も書いた通り、アシナガバエは名前は「ハエ」でも、本当はアブの仲間(直縫短角群)である。「ハエ」と付くだけあって、顔を見ない限りハエ(環縫短角群)の1種の様に見えることが多い。中には、「
”ニセ”アシナガキンバエ」や
マダラアシナガバエの様に、低解像力では顔を見てもアブの1種とは思えない連中も居る。
正面から見ると、何とも変な顔
(写真クリックで拡大表示)
(2009/07/21)
|
今回も、正しくチビアシナガバエ(
Chrysotus)属の1種であるか否かを、九大名誉教授の三枝豊平先生に確認して頂いた。先生はオドリバエ科、アシナガバエ科の権威である。「これも
Chrysotusです」との御回答、これで安心して掲載出来る。先生には、この場を借りて厚く御礼申し上げたい。
チビアシナガバエ(
Chrysotus)属の特徴については、既に詳しく書いた。興味のある読者諸氏は
此方をどうぞ。記事の後の方に、北隆館の新訂圖鑑に書かれている属の解説(執筆は三枝先生)を転記してある。
変な顔をもう1枚.ハエの顔とは明らかに異なる
(写真クリックで拡大表示)
(2009/07/21)
|
以前の「チビアシナガバエ(
Chrysotus)属の1種」と同じで、これも種名は分からない。この仲間は日本では殆ど研究されていないとのことなので、外国で既に記載されている種なのか、或いは、未記載種なのかも分からないのであろう。「
Chrysotus sp.」とする以外に手立てがない。
Chrysotusの写真はWeb上には少ないので、オマケにもう1枚
(写真クリックで拡大表示)
(2009/07/21)
|
これで、このWeblogで紹介したアシナガバエ科は、「
”ニセ”アシナガキンバエ」、
マダラアシナガバエ、
シロガネアシナガバエ属(Argyra)かその近縁属の1種、
チビアシナガバエ(Chrysotus)属の1種(その1)と今日のチビアシナガバエ(
Chrysotus)属の1種(その2)の5種となった。しかし、日本産アシナガバエ科は100種余りしか記録されていないが、実際にはその5倍の500種は棲息するらしい。まだたったの1/100、今後も新顔が現れそうである。