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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:その他の動物
縦長の筆状のカタツムリで、殻高は1cm前後、小さな陸生貝類である。実は、始めはキセルガイの1種だと思っていたのだが、調べてみると、キセルガイは左巻きで殻口に上板と下板と云う2つの突起が有るのに対し、この貝は多くのカタツムリと同じ右巻きで殻口は平滑である。 縦長で右巻きの陸生貝類には、キセルガイモドキやオカチョウジガイその他のグループがある。保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」の図版を見てみると、どうやらオカチョウジガイの仲間(オカクチキレガイ科)らしい。図鑑には同科に属す3属7種が載っている。 因みに、キセルガイ科はこれよりずっと大きな科で、日本には200種近くが棲息するとのこと。
しかし、図鑑を持ってはいるものの、カタツムリ類に関しては超ド素人である。図鑑の図版は小さいし、解説も余り詳しく書かれていない。其処で、関西学院大学の「微小貝」と云うHPを参照してみた(オカクチキレガイ科は8種あり)。・・・すると、写真の貝が最もよく似ているのはトクサオカチョウジガイ(Paropeas achatinaceum、Allopeas javanicumとしているサイトもある)であった。 貝殻の形(尖り方)と質感(不透明で光沢がない)や色彩、殻表の生長線が粗いこと等がよく似ている。また、この貝は平地に多産するそうなので、その点でも一致する。我が家の庭の貝は大きさにかなりの変化があるが、恐らく生長度の違いであろう。しかし、何となく自信が持てないので「?」を着けておくことにした。 トクサオカチョウジガイは、アフリカマイマイ超科オカクチキレ(ガイ)科に属し、関東以南に分布する。外来種(移入種)だそうで、分布拡大中とのこと、要注意種かも知れない。
この貝、植木鉢の下の土にワンサと居るが、皆既に死んでいる。生きている貝は居ない。今年は余り多くなかったので、丁度1年前に撮った写真を下に示した。多くの貝はまだ土の中に埋もれており、その儘放置して雨に晒し、12日後に撮ったのがその次の写真である。 かなり沢山の貝殻が写っている。しかし、この間に40mm以上の雨が降っており、しかもかなり強い降雨があったので、土の上にあった貝殻の多くは流れてしまったものと思われる。
其処で、どの程度の密度で貝殻が存在するのかを調べてみた。植木鉢直下の約7cm四方の土を、深さ約1cm(約50cc)まで採取し、泥を洗い流して貝殻のみを取り出した。
何と、71個もあった(下の写真)。1リットル当たり、約1400個と云うことになる。印象として今年は昨年よりも数が少ないので、昨年ならばもっと沢山の貝殻が見つかったかも知れない。
しかし、これらの貝殻、全部中身はない。全て死んでいる。恐らくこの貝は1年生の卵越冬で、秋に産卵した後、風の当たらない湿り気の多い植木鉢の下に移動し、其処で一生を終えるのであろう。 しかし、普段は何処で生活しているのか? 朽木や落葉等の腐植質を食べているのだろうが、暑い時期に見た記憶がない。尤も、夏には余り植木鉢の下など調べないから、気が付かないだけなのかも知れない。
新年早々余りパッとしない生き物の残骸を紹介した。しかし、こうも新顔が少なくなると、今後は地表や土中の生き物を探すしかない。何分にも酷いネタ不足なので、暫くこの手の生き物の紹介が続く可能性が高い。
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