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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:その他の動物
カタツムリの検索には、殻口の形状(内側に突起があるか、縁が反曲するか)、殻の性質(薄く半透明か)、臍孔(裏側中心部の窪み)の有無やその形状などが重要な指標になる。 其処で、カタツムリをフキの葉から剥がし、色々な方向から撮ってみた。
殻口内を見ると、何分にも生きている貝なので、殻口の内側には乾燥した粘液らしきものあって良く見えないが、殻の内側から伸びる突起のような構造は見当たらない。上の写真では、縁が少し白く光っており、少し反曲(反り返る)している様にも見える。しかし、別の角度から見れば、殻口は薄くて単純な構造をしているのが分かる(下)。
臍孔はあるが、狭く閉じており、先日紹介したヒメコハクガイの様に、渦巻いた内側の殻が見える様なことは無い。 殻は薄く、半透明である。殻の表側には黒い汚れも付いているが、裏側から見たときの黒っぽい部分は汚れではなく、カタツムリ本体の色が透けて見えているのである(これは後で分かったこと)。
以上の形態的特徴を把握した上で、東海大学出版会の「日本産土壌動物」にある腹足綱(マキガイ綱)の検索表を引くと、簡単にベッコウマイマイ科(Helicarionidae)に落ちた。この本の検索表は、普通は属までの検索が出来る様になっているのだが、ベッコウマイマイ科に関しては属の検索表はなく、その代わりに「属・種が多く、検索は困難」とある。 本文解説を読むと、「貝殻は殻径2~18mm、薄質で多くは黄褐色を呈し、光沢がある.殻口縁は単純で薄い.(中略)日本産として記録されているのは22属約100種であるが、貝殻の特徴からの分類に加えて、生殖器形態を重視しなければならず、本科の分類学的検討が遅れている.そのため、本科の属までの検索は割愛する」と書いてある。
実際、保育社の「原色日本陸産貝類図鑑」を見ても種類が多過ぎてサッパリ分からない。また、関西学院大学の微小貝のHPを見ても類似の貝は無かった。 写真のカタツムリは、貝殻の中心部が良く見えないが、巻はまだ4層程度の様である。図鑑を見ると、ベッコウマイマイ科の多くは5~6層なので、このカタツムリは今後更に成長する可能性が高い。大きさによる判断も出来ないので、此処では「ベッコウマイマイ科の1種」とする以外に手はない様である。
このカタツムリは、今後更に観察しようと思い、葉っぱごとシャーレの中に入れ、水を少々振り掛けた。水に濡れたら表面の汚れが少し取れ、それまでよりも多少綺麗になったので写真を撮り直していたら、何やら殻口の奥で動くものがある。やがて、真っ黒に近い舌の様なものが出て来た。 さて、この後はどうなるでありましょうか。それは次回のお楽しみ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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