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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(その他)
「巣」には、御覧の通り、チャタテムシの糞が無数と言っても良い程沢山絡んでいて、かなりバッチイ感じ。こう沢山あると、写真を撮るのにかなり邪魔になるが、チャタテムシの餌であるカビを生やすにはこの方が良いのかも知れない。
チャタテムシの幼虫に関しては今まで何らの情報もなかった。しかし、先日、英国の古本屋から「Handbooks for the Identification of British Insects」の一冊である「Psocoptera(噛虫目:チャタテムシ目)」を入手したので、少しは知識が増えた。 それに拠ると、長翅型のチャタテムシの多くは幼虫期が6齢まであり、翅の原基は3齢から6齢に至る間に次第に大きくなる、とのこと。 2齢幼虫では、翅の原基(胸部にある4つの茶色の部分)が少し起き上がった様にも見えたが、これは気のせいらしい。一方、3齢では明らかに後上方を向いた透明な突起として認められる(上)。これが、4齢ではもっと長い棘状の構造になっている(下)。
ところが、体長を計ると、何故か3齢も4齢も同じで1.5mm。2齢は0.9mmであったから、かなり成長していると言えるが、3齢と4齢で同じなのは何とも奇妙である。恐らく、3齢は4齢への脱皮直前で、4齢は脱皮直後なのであろう。 しかし、良く見ると眼の間隔と云うか頭部の幅は明らかに3齢と4齢で異なる。左右の複眼の最外側間を測定すると3齢では0.42mmであるのに対し、4齢では0.47mmである。眼の間隔は脱皮後基本的に変化しないが、体長は増加するものと思われる。
今日の写真も拡大すると何れもピクセル等倍となる。かなり酷い写真だが、実は、虫体全体にシッカリ焦点の合った写真は1枚もないと言ってよい。画像処理で誤魔化しているのである。100枚以上撮ったが、満足のいく写真は遂に撮れなかった。 これは、チャタテムシの居る場所が目の高さよりやや高い位置にあり、カメラを向けるとフラフラして姿勢が安定せず、写真が非常に撮り難いからである。少し下向きの姿勢で撮ればかなり楽なのだが、この幼虫は今後も観察しなければならないので葉っぱを切り取って安定した環境で撮影する訳にも行かない。全く困ったものである。
この写真を撮った時点では、この5頭の他に、別の葉にもう1頭の合計6頭が居た。しかし今日調べたところ、もうこの集団は既に散開しており、別々の葉に5齢が1頭ずつ合計2頭が居るだけとなってしまった。回りの葉を調べてみたが、成長した幼虫は他には居なかった。 その代わり、全然別の場所に、極く若齢の集団と、まだ孵化していない卵塊を見つけた。恐らく同じ種類と思われる。こうなると、1回は失敗しても良いから飼育するのも一案である。長期間の飼育は葉が枯れかかった場合にどうなるか見当が付かないが、5齢から成虫までの期間ならば何とかなるかも知れない。この5齢の2頭を飼育箱に入れてしまうか、現在思案中である。 [追記]この幼虫は無事成虫にまで成長し、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)の幼虫であることが判明した。表題や本文中にある[]の中は判明後に追加訂正したものである。以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 5齢幼虫 2010/04/25 2010/04/18,20 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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