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テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(その他)
しかし、これまでチャタテムシの飼育などしたことが無いので、上手く飼育出来るか、まるで自信がない。5齢幼虫1頭だけでは途中で死なせてしまうかも知れず些か心許ない。其処で、回りの葉裏を丹念に探してみた。その結果、更に5齢3頭と終齢(6齢)1頭の合計5頭が見付かった。飼育箱、と云っても100円ショップで売っている用途不明のやや縦長のプラスティックの箱だが、その中に花瓶を置いて幼虫の付いた葉を枝ごと挿し、他の幼虫は葉と一緒に切り取って、枝に密生しているトベラの葉の間に挟んでおいた。幼虫が溺れたりしない様に、枝に脱脂綿を捲いて花瓶に挿してあるが、脱脂綿が水を吸ってそこから水分が蒸発するので、チャタテムシの餌となるカビを生やすのに充分な湿度になるものと思われる。また、トベラは常緑樹で葉は厚みもあるせいか、葉だけ入れて置いても容易に萎れなかった。飼育は順調に進みそうである。
勿論、その前に写真を撮った。今度は机の上に葉を置いて撮ることが出来る。据え物撮りだから姿勢は安定しており、以前の様に100枚以上も撮る必要はない。 今回は、フィールド環境で4月18日に撮影(最初の写真)したのと同じ個体を主に撮影した。これまではチャタテムシの居た葉の位置の関係で、背面以外の方向から撮ることが出来なかったが、据え物撮りならば基本的に任意の方向から撮ることが出来る。しかし、この個体は枝付きの葉に居たので、葉の位置の関係で背面からの写真は少し斜めになってしまった(上)。正背面からの写真は、最後に別個体のものを載せておいた。
この5齢幼虫、4齢に較べて翅の突起がかなり太く長くなっている。また、体長は4月18日(最初の写真)で1.8mm、2日後の20日には2.0mmとなった(最後の別個体は2.1mm)。しかし、複眼の幅(左右の複眼の端から端まで)は何れも0.54mmで同じである。体長は成長に伴い増加しても、複眼の幅は同じ齢では変化しないことが分かる。 また、先日掲載した4齢幼虫では、それぞれ1.5mmと0.47mmであったから、5齢以降かなり急激に大きくなるものらしい。
生態に関する変化としては、多くの個体は4齢までは小さいながらも集団で生活していたのに対し、5齢以降では分散する傾向が見られた。4齢以下でも葉裏に1頭だけ居た場合もあるし、5齢でも2頭が一緒に居るのを見たこともある。しかし、飼育中の5頭は何れもそれぞれ別の葉裏で単独生活をしていたし、飼育箱に入れてからも、葉から葉への移動はしているが、それぞれバラバラに生活している。
実は、これらの写真(最初のを除く)を撮った4日後、まだ紹介していない6齢幼虫が遂に羽化して成虫となった(チャタテムシは不完全変態なので蛹にはならない)。チャタテムシは成虫でも種類が分からないことが多いが、幸いなことに、他と間違えることのない極めて特徴的な種、ホソチャタテ科(Stenopsocidae)のヨツモンホソチャタテ(Graphopsocus cruciatus)であった。 謎解きを途中でしてしまうと面白味に欠けるが、表題を「ヨツモンホソチャタテの幼虫」としたいので、敢えて答えを出してしまった次第である。このヨツモンホソチャタテに付いては、何れ成虫を紹介する時に詳述する。
今日現在では、飼育箱の中に成虫1頭、6齢3頭、5齢1頭と、1頭も欠けることなく順調に成長している。 この手の、幼虫も成虫も葉裏で生活するチャタテムシ(主にホソチャタテ科、ケチャタテ科)は、意外と容易に飼育出来るものなのかも知れない。我が家の庭でこれらの科のチャタテムシを見ることは稀だが、少し奥に行けば色々な種類が生息している。今後、卵を見つけたら持って帰って飼育し、卵から成虫までの過程を撮影出来れば、結構貴重な記録になるかも知れない。 [追記]以下に、これ以前と以降のヨツモンホソチャタテ幼虫の成長記録一覧を示しておく。 内 容 掲 載 日 撮 影 日 卵と初齢幼虫 2010/03/13 2010/02/25,03/12 2齢幼虫 2010/03/23 2010/03/22 3、4齢幼虫 2010/04/19 2010/04/10 6齢幼虫 2010/04/29 2010/04/20 成 虫 2010/05/11 2010/04/20,24 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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