「楽天ブログ」のアクセス記録は極く簡単なものだが、もう一つのWeblogをやっているココログでは、実に様々なアクセス情報を得ることが出来る。例えば、閲覧者がどの様なキーワードで検索して来たかが分かるし、その統計も様々に表示出来る。
此処1週間、或いは、1ヶ月間で、昆虫の種名として最も頻度の高い検索ワードを調べてみると、何と、今日の主人公キクスイカミキリ(Phytoecia rufiventris)であった。今は、キクスイカミキリの季節なのである。
キクスイカミキリ.体長9mmと小型
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(2010/05/09)
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体長は9mm(図鑑では6~9mm)のかなり小さいカミキリムシである。ほぼ毎年今頃、我が家の庭に出没するのだが、結構敏感な虫で直ぐ逃げるし、留まるのは葉っぱの裏側であったりして、今までチャンとした写真が撮れなかった。今回は産卵で疲労困憊していたのか、逃げもせず、充分に撮ることが出来た。
横から見ると、腹部の先半分位は橙色
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(2010/05/09)
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上から見ると全体に黒っぽく、胸部背面や腿節(特に前肢)に赤い斑がある。図鑑に拠れば、これらの色彩には変化が多いとのこと。鞘翅は少し白っぽく見えるが、これは白い毛が密生している為で、下地は黒い。横から見ると、腹部の先半分位は、やや淡い橙色をしている。
正面から見たキクスイカミキリ.触角第1節が太い
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(2010/05/09)
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キクスイカミキリは、カミキリムシ科(Cerambycidae)フトカミキリ亜科(Lamiinae)トホシカミキリ族(Saperdini)に属す。このトホシカミキリ族は大きな族で、九州大学の日本産昆虫目録をみると70種もある。体長20mm以下(多くは10mm前後)の細めの小さなカミキリムシで、ハンノアオカミキリの様な緑色の金属光沢を持つ種も多いが、リンゴカミキリやこのキクスイカミキリに似た比較的地味な種類も多い。
前の写真の部分拡大.カミキリムシらしく大顎が頑丈そう
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(2010/05/09)
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以前紹介した、やはり小型の
ルリカミキリは、族は異なるが亜科までは同じである。ルリカミキリでは複眼が上下に分かれていたので、このキクスイカミキリではどうだか見てみた。下の写真でお分かりの様に、触角の基部をグルリと取り巻いていてはいるが、分離はしていなかった。
複眼は触角の根元をグルリと取り巻いている
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(2010/05/10)
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何故、このカミキリがほぼ毎年我が家の庭に現れるとと言うと、それは菊が植えてあるからである。キクスイカミキリは、菊の大害虫なのである。菊の園芸種(在来品種)や野草ではヨモギがよくやられているが、今回は「
北米原産シオンの1種(紫花)」(通称友禅菊)に来ていた。害虫としてのキクスイカミキリは、また別に紹介しよう。