一昨日帰朝した。丁度3ヶ月間日本を離れていたことになる。
大雨の中の着陸で、都内に行くバスを待っている時には、時々管制塔の上部が雲の隠れて見えなくなるほど雲底が下がっていた。聞くところに拠れば、東京(日本)はこの夏は猛暑が続き、この雨で漸く涼しくなったとのこと。強雨ではあったが、恵みの雨でもあったらしい。
さて、帰朝後の第1回目は、タケノホソクロバ(Artona martini)の雌。マダラガ科(Zygaenidae)クロマダラ亜科(Procridinae)に属す。全長は15~7mm位。幼虫の方は以前紹介したことがあるが、黄色い毛虫で、毛は少ないが毒針毛を持っているとのこと。
タケノホソクロバ(雌).ササの葉の上を忙しく歩き回っていた
青味が強く写っているが、実際はもっと茶色っぽい
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(2010/09/09)
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実を言うと、この蛾が本当にタケノホソクロバか否か、形態的には全然確信がない。大体に於いて、このマダラガ科の属への検索法が分からないのだから
Artona属なのか否かも定かではない。かなりスレた個体だし、翅脈も良く見えない。しかし、以前幼虫を撮影した時に付いていたササの葉に御執心であったこと(場所も同じ)と、時期的に他の可能性が殆ど無いことから、消去法でタケノホソクロバと判断した。
かなり以前に紹介した我が家最大の害虫、
ウメスカシクロバに大きさや外観が良く似ている。しかし、これはもっと青味が強く、翅の透明度が高いし、我が家での発生時期は6月である。上の写真ではかなり青味が強く写っているが、これは多分構造色、実際の色はもっと茶色っぽく、下の写真に近い。翅の透明感は殆ど感じられなかった。また、ウメスカシクロバは何とも頼りない蛾で動も緩慢だが、今日の蛾は元気一杯、忙しなく歩き回る。こう云う点でもウメスカシクロバとはかなり異なっていた。
クリスマスローズの葉の上に逃げたタケノホソクロバ
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(2010/09/09)
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此処では、学名その他の分類学的な位置付けは「みんなで作る日本産蛾類図鑑」に従った。東京都本土部昆虫目録でも学名は
Artona martiniとなっている。しかし、「幼虫図鑑」や九州大学の日本産昆虫目録では
Balataea funeralis、保育社の古い蛾類図鑑を見ると
Artona funeralisとされている。この辺りの事情について、私は判断する情報を、残念ながら、全く持っていない。