|
テーマ:日々自然観察(10123)
カテゴリ:昆虫(芋虫、毛虫)
体長は、見た時はもっと大きいと思ったのだが、写真から計測すると丁度5.0mm、拡大してみると、何やらノメイガの幼虫に似ている。しかし、全く別のグループの若齢幼虫の可能性もある。そこで、今後どうなるか分からないが、そのまま暫く様子を見ることにした。
その後、2齢を加えた後に姿が変わり、漸く正体が分かった。オオタバコガ(Helicoverpa armigera)の幼虫であった。しかし、まァ、成虫になるまで育て、正しくオオタバコガであることを確認してからWeblogに載せる方が無難であろう。 蛹化するまでは非常に成長が早かったのだが、その後は変化無し、中々羽化しない(年内に羽化させる為に長日条件で飼育した.オオタバコガは「悪者度」に非常に高い害虫なので保護する必要はない)。しかし、数日前、漸く1頭が羽化した。やはりオオタバコガであった。
さて、オオタバコガの幼虫であることは明らかになったが、今日の写真の幼虫は果たして何齢なのだろうか。オオタバコガはヤガ科(Noctuidae)タバコガ亜科(Heliothinae)に属すが、ヨトウガに近い。このヨトウガ類は、アゲハなどとは異なり、幼虫期が6齢の種類が多い(アゲハ類でも生育条件によっては6齢以上になることがあるとのこと)。調べてみると、オオタバコガは5齢乃至6齢と一定していないらしい。 卵は小さくて直径0.4mm程度と云うから、少なくとも初齢ではないだろう。其処で文献を探すことと相成る。 意外と簡単に、福岡県のHPの下にぶら下がっている「大豆を加害するハスモンヨトウ及びオオタバコガ各幼虫の齢期を判定するための頭幅測定ゲージ」と云うファイルが見付かった。
この文献のデータを使うと、頭幅を計ることによってオオタバコガ幼虫の齢が推定出来る。出典は、「Van den Berg,H. and Cock,M.J.W.(1993)」となっており、文献名は記されていない。この両者によって1993年に出版された論文は数報あり、その何れに載っていたデータかは不詳である。 それは兎も角、オオタバコガの頭幅と齢の関係は以下の様になっている。 幼虫の齢 頭幅最頻値(mm) 最小値-最大値 1齢 0.25 0.2 - 0.3 2齢 0.35 0.3 - 0.45 3齢 0.60 0.55-0.75 4齢 1.05 0.85-1.25 5齢 1.70 1.3 - 2.0 6齢 2.60 2.4 - 3.0
上の写真から頭幅を測定すると、0.43mm。上の表に拠れば、少し大きめだが、2齢と云うことになる。 これから暫くは、このオオタバコガの幼虫の各齢を紹介することになろう。オオタバコガは「大害虫」として名高いから、各齢の詳細を掲載することは農業関係の人にも多少は役立つかも知れない。 [追記]この幼虫は無事成虫にまで成長した。以下に、以降の記録の一覧を示しておく。 内容 掲載日 撮影日 備考 3齢幼虫 2010/12/01 2010/10/14 他とは別個体 4齢幼虫 2010/12/11 2010/10/14 5齢幼虫 2010/12/15 2010/10/17 6齢幼虫 2011/01/17 2010/10/21 蛹と成虫 2011/01/31 - 2個体 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[昆虫(芋虫、毛虫)] カテゴリの最新記事
|