カテゴリ:音楽
今日のNHK-FM「JAZZ TONIGHT」前半のテーマは「“モーニン”誕生50周年」でした!(この曲のオリジナル録音が1958年10月30日なんですって)
右クリックして「新しいタブで開」いてね。(尻切れトンボだけどToT) ↓ http://jp.youtube.com/watch?v=qrixa8mKcF8 あまりにも有名なこの曲、アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが1961年に初来日した際には大ヒットとなり、蕎麦屋の出前持ちが自転車に乗りながら口笛でこのメロディを吹いていた、という伝説があるくらいです。 それくらいヒットしちゃうと、やっぱりコアなジャズファンは「俺様の密かな楽しみを侵された」みたいで面白くないですから「あ、あれでしょ。蕎麦屋の出前。」てな具合にバカにされ、しまいには曲名も「モーニン」とまともに呼ばれず「蕎麦屋の出前」と呼ばれるようになったとか。 でもねぇ。今聴くとこの「モーニン」、蕎麦屋の出前の魂を揺さぶったのも「さもありなん」という気がします。 我々日本人が「モーニン」って音を耳にするとついつい「朝日がさんさんおはようさん!」みたいな爽やかなイメージと「morning」という綴りを思い浮かべてしまいますけど、この「モーニン」は実は違いまして「moanin'」なんですね。 「moan」という単語の意味はプログレッシブ英和中辞典によれば、 ━━[動](自) 1 うめき声をあげる, うなる. 2 〈風・海・木などが〉うなるような[悲しげな]音をたてる. ってことですから、全然爽やかじゃないですね。 これははっきり申し上げてBluesです。 演奏の内容だっていっぺん聴いたらわかりますが、これがもう「どブルース」!!!Blues以外の何者でもない!! 我々日本人が思うジャズの一般的なイメージには「オシャレ」「高級」みたいなニュアンスが含まれると思うんですけど、この「モーニン」にはそれが全然感じられない! つっかえるような粘りつくようなピアノのタイム感!、もちろんベダルなんか全然使わないグルーブ勝負!、「おサルのカゴや」的ペンタトニックスケールと「俺たちゃ・よ~~か~~い人間なのさ♪」的なブルーノートの多用!と、どこをとってもオシャレとは程遠い「どブルースの世界」であります。 でも、これが良いんだよなぁ。 1961年当時のお蕎麦屋さんの出前持ちと言ったら、たぶん中卒で集団就職で東京に来ました、みたいな人が多かったんじゃないでしょうか。 そして「教えてなんかやらねぇ。仕事は盗むもんだ」みたいなこと言われ、それだけならまだしも理不尽な叱責やいじめに耐え、雨の日も風の日も雪の日も来る日も来る日も自転車に乗って重たい岡持ちを運んでいたんじゃないでしょうか。 そういう人の魂にはブルースが届いてしまうのは当然のように思います。 だからね。「蕎麦屋の出前」ってバカにしちゃいけないんですよ。 バカにしてるつもりだったかもしれないけど、実は「蕎麦屋の出前」と「モーニン」は深いところで繋がっていたんです。 その意味で「モーニン」を「蕎麦屋の出前」と呼ぶのは正しい。 実は「言いえて妙」だったのかもしれないです。 --------------------------------------- NHK-FM「ジャズ・トゥナイト」のホームページ ↓ http://www.nhk.or.jp/jazz/ 本日のパーソナリティー 児山 紀芳 さん 本日かかった曲目 - “モーニン”誕生50周年 - 「モーニン」(アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ) (9分31秒) <ブルー・ノート TOCJ-4003> アート・ブレイキー/モーニンART BLAKEY/MOANIN' 「ブルース・マーチ・フォー・ヨーロッパ NO.1」 (アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ) (11分16秒) 「ホイスパー・ノット」 (アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ) (7分12秒) 「ナウズ・ザ・タイム」 (アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ) (13分33秒) 「モーニン・ウイズ・ヘイゼル」 (アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ) (13分56秒) <RCA/BMG BVCJ-8606~8> BMGファンハウス アート・ブレイキー/サンジェルマンのジャズ・メッセン お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 26, 2008 01:41:59 AM
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