潮どきの読み方
私は野田首相には比較的好感をもっていた。それはひとえに、口の重さだった。ペラペラしゃべりの首相がつづいてきただけに、少しは安心できると思ったからだ。ところがここに来て、口の重さに腰の重さが加わってしまい、鈍重感がひときわ目立つようになってしまった。もうどうやっても、この内閣はもたないだけに、一日退陣が遅れれば、それだけ総選挙の票を減らすのではあるまいか?悪いときには、悪いことが重なるという。ヤクザの親分を法相にした時点で、任命責任を感じて辞任したら、もしかして「カッコいい」と、少しは同情票が集まったかもしれない。ところが知らんぷりで通したために、今度は前原誠司の事務所費問題が飛び出してきた。秘書のマンションを事務所と称して、1200万円を浮かせていたというのだから、みみっちい。これは主婦層の顔を逆撫でする話だけに、民主党票を相当減らすだろう。そこにもってきて、石原新党が立ち上がるというのだから、民主党の新人議員は浮き足立ってしまった。早くも2人の民主議員が離党したが、これではいずれ、法案が衆院を通らなくなってしまう。幹事長は悪人面した輿石東だ。彼がいることで教育、教員改革が進まない、という声もあるだけに、どうもこのところで完全に、「勝負あった!」の感が深い。大きな運ほど落ちはじめると、深い底に落ち込むというが、潮どきを逸すると、さらに奈落の底に転落する。むずかしいものだ。