この留学制度は面白い
英語ができなくても、海外の大学に留学できる制度ができたという。工学院大学が考え出したハイブリッド留学がそれだ。ハイブリッドとは、混合、複合という意味だが、まさに逆転の発想といえるかもしれない。ただ海外に送り出すだけではなく、英語のできない学生たちでも、現地の大学の単位が取れて、きちんと卒業できるように工学院大学側からも、教師を現地大学に派遣するのだという。近頃の日本の学生は、海外留学をしたがらないといわれる。むずかしいという先輩たちの声もあるようだが、それより、ネット時代に入って、こちらでも海外一流大学の講義が受けられるようになったことも、影響があるかもしれない。また景気の回復もあって、わざわざ海外で学ばなくても、一流企業に入れる、という傾向もあるのだろうか? 理由はいろいろだが、海外留学に尻込みする学生がふえていることだけは、間違いない。この工学院大学の方法だと、学生たちは海外でも、自分の大学にいるような気分で勉強できるため、留学生は相当ふえるかもしれない。これまでは留学したというだけで、英語で行われる講義が、チンプンカンプンだったという声が高かった。その点でも、相当改善されるのではなかろうか? すでに別の大学から問い合わせが来ているようだが、たしかに新しい留学方法であり、一考に価するのではあるまいか?英語ができなくても、まず海を渡り、向こうの空気を吸って、海外で生活できる自信を得てから、勉強するなり、英語に習熟するなりすれば、自然に国際感覚がつくことになるだろう。内側に向いた学生たちの心を外に向けさせる方法として、みごとなグローバル戦略ではあるまいか? ひいては工学院大学の声価も高めることになりそうだ。