自分らしく生きたい
全国には腎臓病と闘っている患者が何百万人もいるようだ。患者ではないが、腎臓の機能が落ちている人は、1千万人を超えているという。それというのも腎臓はがんばり屋なので、自覚症状がないまま放置され、気がついたときには、意外に進行している、というケースが多いのだ。リュウ・ウェイ(劉薇)さんも腎不全発症から10年になる。現在腎機能は8%で、医師からすれば、人工透析や腎臓移植を当然ながら決断するだろう。ところがリュウさんは断固としてそれを拒否し、自分で考えた雑穀による食事療法と代替医療によって生きてきたのだ。彼女は現役のヴァイオリニストである。ひとつには多くの人に自分の音楽を聴いてほしい、という強い意志が、医師のすすめる人工透析を拒否する原動力になったようだ。透析を始めたら全国を回ることは不可能になるからだ。いわば音楽家としての自分を失うに等しい。それが耐えられなかったのだ。こうしてリュウさんは、自分流の雑穀食事療法と代替治療によって、自分の命と向き合ったのだ。そして10年、リュウさんはいまも元気で全国を飛び回り、いまでは音楽活動だけでなく「劉薇と雑穀の会」を立ち上げ、さらに自宅に雑穀の料理教室を開いて、腎臓病に悩む人々を励ましている。私はそんなリュウさんの姿と活動に感動し、きずな出版から彼女の赤裸々な10年間の闘いを1冊にまとめたいと思った。それが今週、書店に並んだ。『なぜ私は人工透析を拒否してきたか』というタイトルだが、腎臓病に悩む方、あるいはご家族の方に、ぜひ読んでいただきたいと願っている。