残すくらいなら買わない
恵方巻を丸かじりする習慣は「節分にその年の恵方を向いて無言で食すると、縁起がいい」というもので、その起源の定説はないようだ。大阪発祥の風習といわれているが、1989年に広島のセブン-イレブン店が仕かけたもので、考えようによっては、私が仕かけた「口裂け女」が全国に広がったようなものかもしれない。いまこの恵方巻が毎年、大量に廃棄されるとうので、社会的な問題になっている。スーパーやコンビニで毎年売れ残る数量がふえてきたからだ。売る側は「節分に売れるだけ」の食品だけに、残ってしまったら捨てる以外にない。世界では食糧難に喘いでいるのに、日本では大量に捨ててしまっている。これが社会問題にならないわけがない。それも年々太巻きにして、若い女性たちはムリに口に突っ込んでいる。結局食べ残して捨てているのだが、果たしてそんなことをして、神様は喜ぶものだろうか? こういう論議が起こってきたのは当然だし、政府も腰を上げて、注意をうながし始めてきた。神様への願いは、ムリ、ムダがあってはならない。そこで予約制にした店も多いという。ところが予約してまで食べる人が少ない、というのだから厄介だ。コンビニに入って宣伝物を見て「あ、今日は恵方巻の日か。じゃ1本買って帰るか」という客が多いのだという。つまりは恵方神への真剣な祈願から、食べているわけではない。そもそも「売る」ことからスタートした習慣なので、特に「敬けんな祈りの心」を、売る側も買う側も持っているわけではないのだ。今週の一言を書くとすれば――「残すくらいなら、買うのはやめよう」 櫻井秀勲 著『昭和から平成、そして令和へ 皇后三代』櫻井文章塾 第3期DMMオンラインサロン「櫻井秀勲のすべて」穴口恵子×櫻井秀勲 オンラインサロン「魔法大学」櫻井秀勲 著『70歳からの人生の楽しみ方』櫻井秀勲 著『60歳からの後悔しない生き方』櫻井秀勲 著『劇場化社会』櫻井秀勲 著『老後の運命は54歳で決まる!』櫻井秀勲 著『子どもの運命は14歳で決まる!』櫻井秀勲Facebook