肩書より人間を信用したい
きずな出版から『ラクしてうまくいく生き方』という1冊が出た。発売前から増刷して、絶好調だ。著者は「ひろゆき」こと西村博之さんだ。現在はフランス・パリに住んでいるが、中央大学に在学中にアメリカ・アーカンソー州に留学、23歳でインターネット匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になっている。ITを駆使してビジネスを立ち上げた第1世代だ。IT人間というと、変人が多いように思ってしまうが、ひろゆきさんはまったく違うことを知った。それはこの本の目次をゲラで読んだときに感じた印象だった。「基本的に性善説で生きましょう」「安易にフリーランスになるのはやめましょう」「だれに対しても敬語で話しましょう」という言葉は、むしろ古いタイプのまじめ人間が発するようなものだったからだ。90歳の私が発してもおかしくないだろう。「なめられる立場でいましょう」などは、ビジネス最前線で働く若い世代には、耐えられない日常ではなかろうか? 「負けて勝つ」といっているようなものだからだ。日本の敗戦後、米国と立ち向かった吉田茂首相が、この立場だった。負けて勝てばいい。これと同じように、ひろゆきさんも、なめられているほうが敵意を持たれなくてやりやすい、といっている。むしろ「かわいそう」「たいへんそう」と思われる立場のほうが、人生うまくいく、というのだ。この考えは、下手な大臣、社長クラスより上かもしれない。この本は読む気になったら、サラサラと読めてしまう。しかし、読んだあと、自分を省みると、実に深いのだ。反省する点も出てくるし、やるべきことも出てくる。仮に同じようなことでも、成功していない人がいっていると疑わしいが、ひろゆきさんのように成功していると、まさにその通りだと思う。私たちの多くは、つまらない小粒な人間に、同調してしまうのだ。特に肩書人間には注意したほうがいい。私は冗談のように「大学教授」「准教授」「医師」「評論家」の名刺を出した人間には、注意しなさいといっている。怪しげな肩書がしゃべっているだけで、人間が信用できるかどうか、まったくわからないからだ。ひろゆきさんのこの本のほうが、よほど信用できる。 ☆チャンネル登録者数9000人突破!☆▼櫻井秀勲YouTubeチャンネルはこちら▼You Tubeチャンネル「櫻井秀勲の書斎」櫻井秀勲 著『70歳からの人生の整え方』櫻井秀勲 著『三島由紀夫は何を遺したか』櫻井秀勲 著『新しい時代は「逆転の発想」で生きる』櫻井秀勲 著『80歳からの人生の楽しみ方』櫻井秀勲 著『誰も見ていない 書斎の松本清張』櫻井秀勲 著『昭和から平成、そして令和へ 皇后三代』DMMオンラインサロン「櫻井秀勲のすべて」穴口恵子×櫻井秀勲 オンラインサロン「魔法大学」櫻井秀勲 著『70歳からの人生の楽しみ方』櫻井秀勲 著『60歳からの後悔しない生き方』櫻井秀勲 著『劇場化社会』櫻井秀勲 著『老後の運命は54歳で決まる!』櫻井秀勲 著『子どもの運命は14歳で決まる!』櫻井秀勲Facebook