デッドライン =締め切りをくぐり抜ける=
作家の村上春樹が面白いことをいっている。「締め切りのある人生は早く流れる」というのだ。これは、アメリカのジャーナリストの言葉だそうだが、村上はまったくその通りだと、書いている。まさに原稿の締め切りは「あっという間にやってくる」上に、四苦八苦の苦しみを伴う。この締め切りという日本語は、英語に直すと「デッドライン」となる。まさに死線に立つことになる、怖い言葉だと、村上はいう。締め切りに間に合わなければ、まさに銃殺されることになるのだ。私は週刊誌の編集長だった時代に、1度だけ関西、四国、九州方面で売り出す翌週号を遅らせてしまった。当時はトラック便ではなく、貨物列車でどの出版物も送る時代だったが、その列車に遅れてしまったのだ。まさにデッドラインを越えてしまい、その号の返品は悲惨なことになってしまった。ある記事の担当者の原稿が間に合わず、雑誌になるのが半日遅れてしまったのだ。直接的には、その編集者の責任だが、最終責任は編集長にあり、私は辞表を提出する羽目に陥ってしまった。もちろん受理はされなかったが。週刊誌でこのような失態はありえないが、小説雑誌は1年中、締め切りに間に合わない事態が起こる。それというのも、作家の中には遅筆派が何人もいるので、1年のうち何回かは間に合わない作品が出てくる。こんなときのために、別の原稿を用意しているのだが、マンガ週刊誌も大変なようだ。大抵は編集者が泊まり込んで、励ましつつ、朝までに完成する、というケースになるようだが、最近は直接原稿の受け渡しをすることはなくなってしまい、パソコンで直接、印刷工場に送稿することになってきた。それもあって、編集者は一層気を揉んでいる。『〆切本』という1冊がある。明治以降、平成に至るまでの約100人の作家たちの声を集めたものだが、大文豪といえども書けなくなったら、ペンが動かなくなってしまうのだ。編集者は毎号叱咤激励しながら、何とか書かせるのだが、だからこそ作家と編集者の仲は、兄弟や父子のようになっていくのだろう。また巧みに、作家に原稿を遅らせない編集者は、それらの作家と、長くつながっていく。締め切り日を持つ職業の男女は一度、この本を読んでおくといいのでは?☆★櫻井秀勲最新刊★☆櫻井秀勲 著『100歳人生を生きる! 92歳、本日も絶好調!!』 ☆チャンネル登録者数1万3千人突破!!!☆▼櫻井秀勲YouTubeチャンネルはこちら▼YouTubeチャンネル「櫻井秀勲の書斎」▼櫻井秀勲のオンラインサロン☆▼DMMオンラインサロン「櫻井秀勲のすべて」▼Facebookもやってます!▼櫻井秀勲Facebook【櫻井秀勲の好評既刊】櫻井秀勲 著『70代がいちばん楽しい生き方のコツ』櫻井秀勲 著『20代の人生戦略 運をつかめる人は何をしているのか』櫻井秀勲 著『それでも運命は変えられる! 開運大全』櫻井秀勲 著『70歳からのボケない生き方』櫻井秀勲 著『70歳からの人生の整え方』