誠意の人、森村誠一 =私とは最長不倒距離の仲だった=
作家の森村誠一さんが亡くなった。私とはもっとも古い仲だった。というのも私が新人作家担当だったこともあり、一度、無名の時代に、持ち込み原稿を返却したことがあったのだ。それは私の大きなミスで、森村さんの原稿では信号機の部分で「赤から黄に変わった」という表現になっていたのだ。私は単純に「信号は赤から黄にならないのではないか」と書いて、その原稿を返却してしまったのだ。森村さんはその批評を黙って受けたのだったが、あるとき川越街道の朝霞警察署前の二股分岐点に、赤から黄になる信号を見つけたのだ。当時、埼玉県に住んでいた森村さんは、この信号を見たのではなかったか? 急いで森村さんに手紙を出して詫びたのだが、彼の返事がすばらしかった。「大勢の読者に読んでいただく小説に、不審と不信を持たれたら、作家の負けです」という意味合いの手紙を寄越したのだ。何というみごとな返事だろう。私を責めもせず、「ベストセラー作家になりますよ」という意味を込めた、すばらしい返事ではないか!そして何と! 森村さんは有名になって以後、私に「作品を読んでください!」と、それ以後、全冊、私に新刊を送りつづけてくれたのだ。私の書庫は一時期、森村さんの本で溢れてしまい、そのことを笑いながら話したところ、何とそれ以後は、文庫判を送りつづけてくださったのだ。何と心の優しい作家だろう。こんな作家が、現在、実在するだろうか!松本清張さんは、私に電話をかけてきて「新刊ができたから、今夜来ないか?」と、私と話したくて、新刊プレゼントをエサに呼んだのだが、ここまで一流となると、まったく次元が違う。それにしても、森村誠一さんとの仲は、他の編集者と較べても、最長不倒距離といっていいだろう。今夜は書庫に入って、森村さんの文庫本をベッドに積んで寝ようか。☆★櫻井秀勲最新刊★☆櫻井秀勲 著『100歳人生を生きる! 92歳、本日も絶好調!!』 ☆チャンネル登録者数1万3千人突破!!!☆▼櫻井秀勲YouTubeチャンネルはこちら▼YouTubeチャンネル「櫻井秀勲の書斎」▼櫻井秀勲のオンラインサロン☆▼DMMオンラインサロン「櫻井秀勲のすべて」▼Facebookもやってます!▼櫻井秀勲Facebook【櫻井秀勲の好評既刊】櫻井秀勲 著『70代がいちばん楽しい生き方のコツ』櫻井秀勲 著『20代の人生戦略 運をつかめる人は何をしているのか』櫻井秀勲 著『それでも運命は変えられる! 開運大全』櫻井秀勲 著『70歳からのボケない生き方』櫻井秀勲 著『70歳からの人生の整え方』