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2011.05.05
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銀閣寺について語りたかったわけではなく、都内の名所っぽいところを廻ってきたのだけれども、観光地としての東京を思うとき、その完全性は京都の足元にも及ばないということの方が先にたってしまう、というようなことを言いたかったのだけれどもうまくまとめられなかったから(つづく)としたものの、もう記憶の中でそれは色褪せてしまい(はや)、どうしたものかと思っていたところ、あおりも入ったことだしこうして書き始めている。
つづく、としたとはいえ翌日に書くとはひとつも約束していないわけだけれども、期待されるとそれに応えようとしてしまうあたり、オレも人がいい。そういえばこの頃あまり「いい人だね」というような誉め方をされない。それは「いいひとだね」という言葉が「ふーん」とほとんど同義であることを世間が認知し始めたのと無関係ではないだろう。「いいひとなんだけどね。。」として語られる人は必ず好印象はもたれていないし、「わるいひとじゃないんだけどね。。」と評されたあかつきにはもう完全に軽蔑の意思がこめられていることからしても、「いいひと」にはほとんどポジティブなイメージはないことがわかる。
女性はよく「すごーい」とか「さっすがー」とかいって男を誉める。そういわれた男は大概気をよくして嬉しがるけれども、ここで注意すべきなのは女性の「すごーい」なんかも「ふーん」とほとんど同義であるというところである。なぜなら女性は「すごーい」を連発する。それほどすごいことをしていなくてもすごいすごいいわれるもんだから男はすっかり気分がいいわけだけれども、その気分がいい状態に高止まりさせておくために、男なんか誉めてればいいのよ、的な感覚というか戦術でもって女は男の気分をコントロールしているに違いないのだ。「すごーい」が「ふーん」と同義であっても、まちがって男に「ふーん」といったりしないあたり、上手である。

また話がそれているけれども、都内の名所についてなにか言おうとしていた。
旧岩崎邸庭園にいってきた。
かの三菱創業者の岩崎弥太郎の長男の久彌の自宅であったところだそうである。
明治期に建てられた建物は外も内もそのまま残っており、天井には刺繍や浮き彫りがほどこされていたり、各部屋毎に異なる壁紙には当代一流の巨匠で模様が描かれていたり、廊下が組木だったりベランダは高価そうな模様のタイル張りだったり、贅沢の限りを尽くして建てられていた。

女性の観光客は「すごーい」とか「へえー」とか「ふーん」とか内装ひとつひとつにいちいち感心していたが、「すごーい」が「ふーん」と同列になっていることはあまり気にならなかった。
気になったのは、ベランダから外を眺めた光景である。
古びたマンションや品のない雑居ビルがベランダからの景色を遮っていた。
都会のオアシスとはよくいったものだけれども、欲望という名の経済活動のために周辺を開発された挙句に取り残された寂れた場所を正当化するための詭弁にすぎない。ここで思い起こされるのはあの銀閣寺をセカイの中心に据えて何百年もそれが保たれている京都のあの風景である。岩崎邸がセカイの中心であるべきとは思わないし、乱雑に立ち並ぶビルたちを嘆くのも観光者としてのエゴには違いないが、なんというか、品がないのである。

昨今、効率化とか合理化とかがよく叫ばれ、世間の経済活動はその生産性において加速度的に高まりつつあり、そういった流れの中でオレもメシを食っているという現実は棚にあげておくとしても、もう少し品格のようなものを持ってもいんじゃなでしょうか。
(むりやりまとめた)





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最終更新日  2011.05.05 13:00:15
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